当時は雑誌のカラーページを切り取って、大事に保存していたものです。
いつかイラスト集が出ないかと密かに願っていましたが、本当に出たことが嬉しい。
大好きな色彩が再び見られて嬉しい。個人的にはもっと大きく厚くして欲しかったですが。

「ホットロード」は二度三度と見るたびに味わいが深まる映画です。よほどの見巧者でなければ、一度見ただけでこの映画の良さを見抜くのは難しいでしょう。その意味で、このDVDの発売は大歓迎です。
三木監督は、原作の動より静、ドラマより絵に焦点を絞ったようです。和希を演じた能年玲奈に対する「何も(芝居を)しないでそこにいて下さい｣という演出も、そのあたりから来たのでしょう。「あまちゃん」のイメージが強いこの女優のポテンシャルを見抜いた監督も大したものですが、監督の無理な注文にみごとに応えた能年玲奈もすばらしい。眼の動き、表情のわずかな変化で、和希の内面の葛藤をあざやかに表現しています。おそらく現在、日本で無声映画を撮ることのできるただ一人の女優でしょう。
監督の狙いはまんまと的中し、ドラマは内面に押し込められることにより、かえって燃焼度を増し、「ソラニン」以来の独特の映像美にかつてない深みを与えています。三木監督会心の一作であり、女優能年玲奈なくしてはありえなかった映画でしょう。

値段のわりには、思っていた以上に汚れもなく、綺麗で満足しています。