緑の毒 (角川文庫)
新刊が出ると欠かさず読んでいる桐野さんの長編小説です。
今回も桐野ワールド全開
主人公は川辺康之、妻あり子なし、39歳、開業医
そして連続レイプ犯。
とにかくこの主人公が悪い
プライドだけは異常に高く全身高級品を身にまとい妻への不満を抱きながら次々とレイプを繰り返して行く。
普通どんな悪い主人公でも一縷の同情の気持ちが芽生えたりするものですがこの主人公には全く同情の余地なし。
他の登場人物、主人公の妻、その愛人、そしてレイプされた女性たち
みんなそれぞれに毒を持ち、共感出来る人物が1人も出て来ない所が
桐野さんらしいと言えば桐野さんらしい様な気がします。
読んでいて決して気持ちの良いお話ではありませんが
いつもながらの登場人物の心理描写が見事で脳内映像でずっと動いていました。
読者を飽きさせないと言う事ではやはり桐野さんの作品は面白いのだと思います。
今回も桐野ワールド全開
主人公は川辺康之、妻あり子なし、39歳、開業医
そして連続レイプ犯。
とにかくこの主人公が悪い
プライドだけは異常に高く全身高級品を身にまとい妻への不満を抱きながら次々とレイプを繰り返して行く。
普通どんな悪い主人公でも一縷の同情の気持ちが芽生えたりするものですがこの主人公には全く同情の余地なし。
他の登場人物、主人公の妻、その愛人、そしてレイプされた女性たち
みんなそれぞれに毒を持ち、共感出来る人物が1人も出て来ない所が
桐野さんらしいと言えば桐野さんらしい様な気がします。
読んでいて決して気持ちの良いお話ではありませんが
いつもながらの登場人物の心理描写が見事で脳内映像でずっと動いていました。
読者を飽きさせないと言う事ではやはり桐野さんの作品は面白いのだと思います。
夜また夜の深い夜
ナポリのスラムに母親と二人で住む舞子が七海に書き送る、
Dear Nanami,で始まる手紙からはじまります。
一緒に暮らす母親の名前もわからず、
母親が出生届をださないために国籍もなく、
たまに母親が姿を消すとろくに物も食べられなかったり。
そんな舞子が家を飛び出し、
もっと過酷な人生を送ってきたエリスとアナに知り合い、
三人で苛烈な現代を生きていくサバイバル物語・・・
中でも、
それこそほんの幼女の頃から、常に虐殺の最中におかれて、
生きていくためにはなんでもせざるを得ない状況にあるという
究極のサバイバルを乗り切ってナポリまで逃げてきたエリス。
アフリカ南部の激烈な戦いは、ニュースでは聞いていたけど、
こんな風に小説で読むと
ほんとに身の毛がよだつような過酷さで。
平和日本に生まれて育ったことのありがたさを
もっと感謝しなきゃなとマジに思いました。
ところで、七海は「重信房子」の娘「メイ」がモデルと思います。
テルアビブ空港乱射事件をリアルで知っている年代の方は
ご存知と思いますが、
数奇な運命をたどったこの二人のことを知らないで読むと
面白さが半減しますから、
もし知らないのでしたら是非その前に、
この親子のことを調べてから読んでみてください。
Dear Nanami,で始まる手紙からはじまります。
一緒に暮らす母親の名前もわからず、
母親が出生届をださないために国籍もなく、
たまに母親が姿を消すとろくに物も食べられなかったり。
そんな舞子が家を飛び出し、
もっと過酷な人生を送ってきたエリスとアナに知り合い、
三人で苛烈な現代を生きていくサバイバル物語・・・
中でも、
それこそほんの幼女の頃から、常に虐殺の最中におかれて、
生きていくためにはなんでもせざるを得ない状況にあるという
究極のサバイバルを乗り切ってナポリまで逃げてきたエリス。
アフリカ南部の激烈な戦いは、ニュースでは聞いていたけど、
こんな風に小説で読むと
ほんとに身の毛がよだつような過酷さで。
平和日本に生まれて育ったことのありがたさを
もっと感謝しなきゃなとマジに思いました。
ところで、七海は「重信房子」の娘「メイ」がモデルと思います。
テルアビブ空港乱射事件をリアルで知っている年代の方は
ご存知と思いますが、
数奇な運命をたどったこの二人のことを知らないで読むと
面白さが半減しますから、
もし知らないのでしたら是非その前に、
この親子のことを調べてから読んでみてください。
OUT [DVD]
桐野夏生、大好きなんです。原作も主婦版ハードボイルドで大好き!
映画は原作とかなり違いますが、ある意味ハードボイルドというところではズレてないんじゃないでしょうか?
原美枝子の香取雅子はTV版の田中美佐子よりは好きだなぁ~。
乾き切った女が金貸しの十文字に好意を寄せられて、
潤うシーンは本当にうまい!
実は香川照之(最高!)とのやりとりが好きなんです。
「飯塚で焼肉屋のおかみさんになりませんか?」という気弱な口説き文句に「あんたの口説き文句は実用的よね」と返す言葉と裏腹な甘い口調。後に電話で話すシーンと言い、最高のラブシーンだと私は思うのですが・・。
映画は原作とかなり違いますが、ある意味ハードボイルドというところではズレてないんじゃないでしょうか?
原美枝子の香取雅子はTV版の田中美佐子よりは好きだなぁ~。
乾き切った女が金貸しの十文字に好意を寄せられて、
潤うシーンは本当にうまい!
実は香川照之(最高!)とのやりとりが好きなんです。
「飯塚で焼肉屋のおかみさんになりませんか?」という気弱な口説き文句に「あんたの口説き文句は実用的よね」と返す言葉と裏腹な甘い口調。後に電話で話すシーンと言い、最高のラブシーンだと私は思うのですが・・。
グロテスク〈上〉 (文春文庫)
読者を圧倒する小説、というランキングがあればこの小説はトップを狙える。
面白い小説、あるいは推薦する小説といわれると・・・。この小説を友人に
薦めるのははばかられる。それは決してこの小説がそれに値しないからでは
無い。むしろ逆。だが、「これを読んで、よかった。」と素直に人に認めが
たい、ある種の問題作だと思うから。
この本は、Q大学付属(女子)高校(私学ナンバーワンといわれる医学部を
持つ有名大学系列の学校がモデルと思われる)に在籍していた4人の女性の、
高校〜三十代後半までの生き様とを描く。植えつけられた競争社会の価値観
や劣等感などに無意識に影響を受ける彼女たちは、それぞれの方法で生き抜
こうとするが、集合的な差別、競争の中で歯車が狂って言ってしまう。
特に下巻に詳しく語られる和恵の生き様はまさに”凄惨”の一言。心の闇、
異常心理というものをここまで大胆に描き出す著者の力量にただただ脱帽
するばかり。
さらに特筆すべきは、名前すら与えられていない「わたし」が持つ悪意の
凄まじさだ。和恵が動的だとすれば、「わたし」は静的である。が、
ですます調で淡々と語る「わたし」が内在する悪意、情念ははちきれん
ばかり。和恵は凄惨ではあったが自分の生き方を見つけ、全うした。
しかし「わたし」の情念は小説を通じて膨らんでいくばかりで、昇華
されることが無い。この恐ろしさはまさに圧倒的である。
東野作品に「悪意」という作品がある。が、私はこの作品こそ、
「悪意」というタイトルがふさわしいと思う。
小説の「凄さ」を改めて感じさせる作品だ。
面白い小説、あるいは推薦する小説といわれると・・・。この小説を友人に
薦めるのははばかられる。それは決してこの小説がそれに値しないからでは
無い。むしろ逆。だが、「これを読んで、よかった。」と素直に人に認めが
たい、ある種の問題作だと思うから。
この本は、Q大学付属(女子)高校(私学ナンバーワンといわれる医学部を
持つ有名大学系列の学校がモデルと思われる)に在籍していた4人の女性の、
高校〜三十代後半までの生き様とを描く。植えつけられた競争社会の価値観
や劣等感などに無意識に影響を受ける彼女たちは、それぞれの方法で生き抜
こうとするが、集合的な差別、競争の中で歯車が狂って言ってしまう。
特に下巻に詳しく語られる和恵の生き様はまさに”凄惨”の一言。心の闇、
異常心理というものをここまで大胆に描き出す著者の力量にただただ脱帽
するばかり。
さらに特筆すべきは、名前すら与えられていない「わたし」が持つ悪意の
凄まじさだ。和恵が動的だとすれば、「わたし」は静的である。が、
ですます調で淡々と語る「わたし」が内在する悪意、情念ははちきれん
ばかり。和恵は凄惨ではあったが自分の生き方を見つけ、全うした。
しかし「わたし」の情念は小説を通じて膨らんでいくばかりで、昇華
されることが無い。この恐ろしさはまさに圧倒的である。
東野作品に「悪意」という作品がある。が、私はこの作品こそ、
「悪意」というタイトルがふさわしいと思う。
小説の「凄さ」を改めて感じさせる作品だ。
魂萌え! [DVD]
定年を迎えた夫が急逝してしまう。
専業主婦だった主人公に、夫の死を迎えたその日から
いろいろな出来事が襲う。
相続の話や、信じ切っていた夫の愛人。
息子や娘。 友達関係。
周りのいろいろな出来事。
そんな中で 少しずつ自分を見つめなおして
立ち上がっていく。
定年離婚なんて言う言葉もある昨今。
やはり 私が思うのは・・・・
女の強さ。 (笑)
いろいろな立場の違いによる考え方の違い。
心の機微も微妙なタッチで見えてくる。
この映画は、熟年の夫婦・奥さん・旦那さんが
みるといいかも。 (笑)
それぞれの立場で見方も変わる?? (笑)
専業主婦だった主人公に、夫の死を迎えたその日から
いろいろな出来事が襲う。
相続の話や、信じ切っていた夫の愛人。
息子や娘。 友達関係。
周りのいろいろな出来事。
そんな中で 少しずつ自分を見つめなおして
立ち上がっていく。
定年離婚なんて言う言葉もある昨今。
やはり 私が思うのは・・・・
女の強さ。 (笑)
いろいろな立場の違いによる考え方の違い。
心の機微も微妙なタッチで見えてくる。
この映画は、熟年の夫婦・奥さん・旦那さんが
みるといいかも。 (笑)
それぞれの立場で見方も変わる?? (笑)