先日惜しまれつつ最終回を迎えた「ドームチルドレン」。
最終巻となる第3巻には第7話~第9話(最終話)の本編の他に、
反響が大きかった読切作品が一つ、収録されている。
●ドームチルドレン
生命というもの。
いつかは来るドームの寿命。
常に止まることなく、未だ見ぬ土地へ未来へ、歩む若き力。
その先に間違いなく存在する、美しい地球。
老博士の作った通信機器から突然、遙か遠くに住む人間から通信が入る場面は、
少々ご都合主義的なところが見えるが、それを補ってあまりある展開。
最初に読んだときには全く綻びすら見つけられなかったほど。
第8話で終わっていても、何も不自然ではなかった。
事実、最終話にふられているルビは、「エピローグ」
その名の通り、最終話のほとんどがしんたの母親・ジェシカの話で占められている。
(あまり深く掘り下げると魅力が薄れるので言えないが)
ストーリー的には、読み進める度に段々と悲しくなってゆくに違いない。
が、それすらもエピローグへの序章でしかない。
最終話の最後の最後、たった9ページに、物語のすべては集約されていく。
目の前に広がる大地と、第1話へとつながるラストシーンには、
いささか泣かされた。
第3巻を買ったならば、カバーを外して見るといい。
彼らの未来が見えるから。
●読切「IIIの勇者たち」
ファミコン版「
ドラゴンクエスト3」が絡む、新世紀版「七つの海」。
何もない大人。
夢を持つこと。
勉強以外に何も見つけられず、何となく大人になってゆく『真面目な』少年と、
ゲームデザイナーという夢を持ち、それを叶えるため自分の道を進む『不良の』少女。
『ドラクエの話をするときの彼女の表情は――ボクにはできない表情――』
この台詞にすべてが集約されている。
夢を持つ人は、輝いている。
夢に向かって進む人は、変わってゆける。
「やるべきこと」ではなく「やりたいこと」が、大切。
こんな文章ではおそらく魅力は微塵も伝わらないであろう、不世出の傑作。
『――夢は 見つかった?――』