暴言で読む日本史 (メディアファクトリー新書)
本書は、歴史の教科書でも出てくる有名な20の暴言、例えば、
「平家に非ざる者は、人に非ず」
「日出づる処の天子、日没する処の天子に〜」
などを切り口として、歴史を紐解いていく内容です。
その暴言が発せられた時代背景や、その人物が丁寧でユーモアのある説明で書かれていたので、
自分が知らない時代のことも、興味深く読めました。
作者の説明が論理的で、説明の根拠が明確なので、
その暴言が、本人の自負から発せられたのか、政敵が半ば創作したのか、
などの結論も納得できました。
この本で、歴史を多角的に知ることの面白さを感じました。
歴史を学ぶ意義の一つは、例えば、
「現代の報道や政治家の言葉も、鵜呑みにすると、過去に犯した歴史の失敗を再度、犯すことになるのでは?」
と疑問を抱くことにあるかもしれません。
作者の近代の歴史認識に異議がある人もいるかもしれませんが、
歴史を別の角度から眺める点では、誰が読んでも有意義な本です。
身もフタもない日本文学史 (PHP新書)
「身もフタもない」というタイトルが表すところは、
「こんな分量で日本文学史を語るところに無理がある」という
著者の自分ツッコミ的な意味と
「短歌はメールのやり取りに似ている」など、
現代にも通じる卑近な例で名作を身近に引き寄せてくるあたりの力技を称して、
というところのようだ。
一見近寄りがたく格調高いとされる純文学などのあれこれなども
その作者の的確な分析でその作品もおのずと根幹が見えてくるものだな〜と思わされた。
やはり清水義範は人間観察と人間理解に長けている。
結局作品には作者の人間性そのものが、これほど色濃く溢れ出てるものなんだという
当たり前のことを、氏の導きによってつくづく考えさせられる。
本著は「雑談」という仕切りによって日本文学史を語る。
「雑談9」の白樺派のあたりの記述はほんとにおもしろかった。
この部分が一番「身もフタもない」という感じ。笑ってしまった。
最終の「雑談10」がまとめにかかりすぎてる感があり、ちょっとあわただしい。
せめて「雑談13」ぐらいまでないといくら「駆け足で」なんていっても猛スピードすぎるような・・・。
久しぶりに読み終わるのが惜しいほど楽しい本だったので、
最終章の「早送り」的なまとめが残念だったかも・・・・。
今度は世界文学史も読ませてもらいたいなと思います。是非!
永遠のジャック&ベティ (講談社文庫)
この本は「永遠のジャック&ベティー」のほかにいくつかの面白い話やエッセイがあります。ジャック&ベティーのほかに、サル・かに合戦についてのユーモラスなエッセイと「名古屋人」についてのお話が特に面白いと思いました。著者(清水氏)のこれらの作品の面白いところは何といっても普段軽く考えられていること(サル・かに合戦等)をまじめに扱うことです。本当に賢いユーモアですが、何のことでもまじめに考えすぎる人に薦められる本です。ところで、本の中のメインエッセイ(「永遠のジャック&ベティー」)は日本語のオリジナルバージョンも読みましたが、やはり英語の教科書に出てくるキャラクターが主人公ですので、この講談社英語文庫バージョンが3倍も面白いと思います。
国語入試問題必勝法 (講談社文庫)
タイトル作が最も面白くてその他は好き好きという点では、他のレビューと同じ意見です。ただ、国語という教科は好きでなかったものの、無類の本好きで国語のテスト(全国模試ですね)にはやたら強かったものとして一言。
この必勝法には幾つもの「本物の必勝法」のエッセンスが隠れています。単なるジョークや誇張ではなく、ありがちな国語の試験問題をベースに、その問題を解くための本当に効率の良い思考方法をもとにしているからこその面白さが感じられます。
結局のところ、本当にその人の国語能力(文章表現力・語彙力・読解力など)を知りたければ、論文を書かせるなり面接するなり、即興でスピーチさせるなりしたほうが良いわけで、その意味ではこんな重箱をつついたような試験問題に右往左往している教師・受験生を笑い飛ばしているとも思います。
それはともかくとして、軽妙なテンポ、独創的な着眼点、風刺、実体験に基づいた真実の土台がブレンドされた、極上の娯楽短編小説だと思います。国語が得意だった人には大喜び。そうでない人にもそれなりに楽しめる本だと思いますよ。
世にも奇妙な物語 映画の特別編〈特別版〉 [DVD]
4篇の物語からなる映画。
ほかの三篇はどうでもいいが、(そもそも映像短編で感動物をやるとたいてい中途半端で気だるいだけで終わる)最初の雪山はまぎれもない傑作。スクエアが出たきた時点でありふれた話だと思ったけど、ごめんなさい、勘違いでした。いやあ、マジで面白かった。