青島広志合唱作品集3 戻ってきた歌-編曲による日本の愛唱歌-
1986年9月12日に、目黒区民センター・ホールでの演奏会のライヴ録音です。それゆえ、咳ばらいなども少し混じっていますが、臨場感もたっぷりでホールエコーもちょうどよく、豊かな響きとともに収録されています。
小学唱歌や歌曲、童謡、流行歌としてそれぞれ歌い継がれてきた曲がこのような合唱作品として、新しい革衣を着て世に問われるのは素晴らしいと思っています。久しぶりに聴いた曲や初めて聴く曲もありましたが、いずれの曲もそれぞれ意味のある歌詞や美しいメロディにあらためて感心しました。
曲目は掲載してありますので、それで確認してもらうとして、リーフレットには編曲者の青島広志氏の「《ふつうの人》たちの歌」というメッセージがあり、そこには、筆者が28歳から31歳にかけて編曲した曲集だということが書かれています。
合唱指揮者として著名な栗山文昭氏が全曲ふり、編曲者の青島広志氏がピアノ伴奏を受け持っています。演奏団体は、栗山文昭氏が関わっている平松混声合唱団、コーロカロス、女声合唱団彩の会、千葉大学合唱団、都立日野高等学校合唱部で、ラストの4曲は全団体での合同演奏です。
平松混声合唱団や千葉大学合唱団の巧さには定評がありますが、都立日野高等学校合唱部の安定した演奏には驚きました。伸びやかな発声ですし、若さと同時に軽やかさも感じられ、立派な演奏だったと思います。
合同演奏は圧倒的な迫力のある大合唱を披露しています。演奏の途中に拍手がまじるほどの熱演でした。姿は見えませんが、何らかのアクションがあったりして観客の息を飲む感覚まで伝わってきます。ラストの「赤とんぼ」は郷愁を誘う名演奏だったと思います。
吾輩は猫である (岩波文庫)
この岩波文庫1990年版の緑帯シリーズは漱石全集のデザインを引用していますが旧かなづかい旧字体を新かなづかい新字体に編集部が書き直したものです。
したがって旧かな旧字体に慣れない小中学生の方でも違和感無く読めるものと思います。
またおおよその漢字には振り仮名がふってあり、独特のあて字の多い漱石の文章も苦労なく読めるものと思います。
新かなづかい新字体については異論のある方もいると思いますが全集版を前に何回か読んでいる自分も途中まで気付かず、逆にその内容の今日的な事、古典落語に共通する東京話し言葉のリズムの通底、にあらためて気付かされる発見がありました。