千葉流 サムライへの道
半世紀に渡り日本のTV及び映画界に多大なる影響を与えた俳優・千葉真一(現:JJサニー千葉)。前作『千葉真一 改め 和千永倫道』〈2008・山と溪谷社〉を発表して以来、二冊目の自叙伝である。前作は、“役者・千葉真一”を語るにはかなり端折った内容であったので自分としては決して納得できるような内容ではなく、同時期に出版された俳優・萩原健一の自叙伝『ショーケン』が濃密な内容で面白かったのでそれを参考にしてもう一度改訂してほしいと前作のレビューに訴えたところ、その意見を汲み取ってもらえたのか今回の自叙伝は、前作の反省点を踏まえて著者の生い立ちからデビュー前の挿話、出演作や関係者との秘話などサムライ(武士道)という言葉を通して濃密に描かれた内容となっている。
・ 日本のアクションドラマの草分けにて氏の演じる風間洋介の激しいアクションが話題となった『キイハンター』〈1968〜73〉
・ お茶の間での人気アクションスターからの脱皮を試み、テロリストの役に挑んだオールキャストによるテロリズム史大作『日本暗殺秘録』〈1969〉
・ 狂犬のようなヤクザを演じ、悪役の妙味を知った『仁義なき戦い 広島死闘篇』〈1973〉
・ 全米でブルース・リーを超える興行収入で“サニー千葉”の名を広めた『激突!殺人拳』〈1974〉
・ 氏の当たり役となった柳生十兵衛で後にテレビでも人気を博した時代劇『柳生一族の陰謀』〈1978〉
・ タランティーノ監督お気に入りの氏の人気シリーズとなったテレビ時代劇『服部半蔵 影の軍団』〈1980〉
さらに千葉氏の人生の中で多大なる影響を与え、今なお敬愛してやまない特別な先達――戦友である日本を代表する映画監督・深作欣二、大先輩である映画界の大スター・高倉健、師匠である極真空手の創始者・大山倍達――三氏の挿話は面白く、千葉氏自身の熱い思いが込められている。また弟子についても言及されており、現在では国内外で幅広く活躍する俳優・真田広之氏や伝説的女性アクションスターであり、現在は長渕剛夫人である志穂美悦子氏との濃厚な挿話も紹介されて興味深い(特に志穂美氏に画面上に女らしさを見せるために千葉氏がある事を命令した挿話は最高!)。
他にも武士道を通しての家族愛や教育についても言及され、現在の奥様との間に産まれた二人の息子たちにもしっかりと教授されているようだ。武士道といわれると些か堅苦しく思われるかもしれないが日本人が長年築き上げてきた日本古来の美徳であり、世界に誇れる慣習であると思うので何らかの形で受け継がれてほしいものだ。そうした志を持った千葉氏の今後にも見守り続けたいと思う。
殉国―陸軍二等兵比嘉真一 (文春文庫)
主人公は、陸軍二等兵比嘉真一。召集された時は、沖縄県立第一中学校三年生、14歳であった。
沖縄の珊瑚の海が、米軍艦船で埋め尽くされたとき、比嘉は学徒兵として、
本土防衛のための沖縄の砦を守る一兵卒となった。一年生、二年生が「幼いものは家に帰れ」
と言われたのに対し、皇国の兵となったことに優越感と高揚感を抱く。
しかしその比嘉も幼いことに変わりはないのだ。吉村さんの筆は端正に冷徹に、その様子を描く。
「(比嘉)真一は、なるべく小さいものをえらぶことにつとめたが、軍服はどれもだぶだぶで、
仕方なく袖口を追って着用しなければならなかった。ズボンも裾の方をかなり折ってゲートルを巻きつけた」
比嘉は三男である、長兄と次兄を戦場で失った母にこう心のなかで言う。
「『しかし母さん』と、彼は、胸の中でつぶやいた。『戦争は男が死んで、女が生き残るものなのです。
僕たち男は、なぜか本能のようにそれを無意識に知っていて、女や幼い子供たちの生命を守るために
死をとして戦うのです』」
沖縄は、本土防衛のために、郷土を焼土に変えられながら三ヶ月間戦った。そして、比嘉真一は……
再販すべき本である。
復活の日 デジタル・リマスター版 [DVD]
完成度は別にして日本映画がこのような気宇壮大な作品を今も昔も作ったことはなかった。
小松左京原作で製作された数多い映画の中でも原作のスケールの大きさと真正面から闘った演出、配役、そして製作者の情熱は再評価されるべきだ。
好悪は別にしても映画斜陽の1980年代の角川春樹の孤軍奮闘はもっと認識されなければならない。
草刈正雄の代表作としても大いに記憶されるべき一本。
東電OL殺人事件 (新潮文庫)
色々と書かれているが..そして著者にしては、奥歯に物が挟まった様な、文章が多いので、レビューの点が低いのだろう.しかし、良く読んでみると、その理由がわかる.奥歯に物が挟まった様な書き方しか出来ない理由が..それが、わからない人には詰まらないだろうし、わかる人には面白くてたまらないであろう.怖い話ではある.