Best of Manfred Mann
1963年のデビューから66年までのEMI時代のベストアルバム。
マン・フレッドマンを中心としたジャズコンボに
ソウルフルなポール・ジョーンズのボーカルで完成した、
ジャズとブルースの融合的なアプローチがクールでたまらないです。
中でも8曲目「Without You」、9曲目「I Put A Spell On You」はもう完璧です。
そうかと思えば、「5 4 3 2 1」や12曲目「Sha La La」は思いっきりポップであったり、
16曲目「With God On Our Side」、24曲目「If You Gotta Go, Go Now」ではボブ・ディランをカバーしています。
60年代のクールでヒップなグループをお探しながら、マン・フレッドマンはお勧めです。
Angel Station
79年発表の9作目。前作発表後のツアーをもってグループは一旦解散。マン(k、vo)、トンプソン(vo)、パット(b) の3人を中心にして元ガン〜イースト・オブ・エデン〜ウィングスのジェフ・ブリットン(dr、sax)、スティーヴ・ウォーラー(vo、g) の2人を加えて本作を発表している。プロデュースを担当したアンソニー・ムーアもギター、シンセ、シーケンサーと大々的に参加している他、ジミー・オニール(g)、ダイアナ・バーチ(vo)、そしてクレジットはないようだが、アン・ケリー(vo)、グレアム・ピスケット(vln) などゲスト陣の貢献が非常に高いのが特徴で、バンド自身の不安定さも感じさせる作品でもある。楽曲面ではマイク・ヘロン(本作で2曲目)の1.ボブ・ディランの2.ハリエット・ショックの3.ビリー・ファルコンの8.などのカヴァーとマンを中心としたオリジナルが半々くらいの内容で、メンバー全員とゲストのジミー・オニールとの共作5.マン、ジミー、ハース・マルティス(ジョン・サイモン絡みのシンガーソングライターの人だと思う)の共作の6.などが興味深い曲だと思う。
1.はヴォコーダー(トーキング・モジュレーターかも?)も入った曲で、ハービー・ハンコックをちょっと意識した仕上がりだと思う。ドラムスにはテクノ・ポップ的な雰囲気も感じられ、彼らなりに時代を意識しているのが良く分かる。シンセのソロは必聴で、テクノともフュージョンとも言えない独特の演奏は個性的かつ魅力的。2.はニュー・ロマンティック路線のアレンジ。嫌が応でもウルトラヴォックスを思い起こさせるが、サビのキャッチィーさは彼らより勝る。どちらにしても必殺の一曲だろう。
一世代前のプログレ/フュージョン色を払拭してテクノ/ニュー・ウェイヴ色を強めた革新作。楽曲のクオリティは相変わらず高いだけに時代に契合してマンネリを避けたこの方向性は正しいと言わざるを得ないだろう。ただし奥底に残ったプログレ魂は消えてはいない。