うちにかえろう~Free Flowers~
川上三枝子さんは未映子と名前をかえて、「瞳バイブレーション」「はつ恋」などの新曲を出してますよ。つい最近も「夢みる機械」というアルバムCDが出たばかりです。
この「うちにかえろう」のジャングル・ブギーなんかもエネルギッシュでよかったですが、新作はバラード調の違った魅力でいい感じなんで、おたけさんもぜひ聴いてみてくださいね。
ヘヴン
主人公と百瀬(苛める側の一員)のやり取りが印象的だった。
人間のもっている主観は人それぞれ違うものだ。だからお互いを本当に知ろうと思ってもそれはできないのかもしれない。
主人公の言い分が百瀬に通じなかったのもそのせいだろう。
百瀬と主人公はわかりあえなかった。
一度はわかりあえそうだった主人公とコジマも本当はわかりあえなかった、と思う。
だから悲しい、というわけではない。人間とは、そういうものだ。
そう感じた。
乳と卵(らん) (文春文庫)
文体が独特とか(一時の流行物っぽいけど)改行がないとか、
句読点が、とか、そういう文章のスタイルの問題ではなく、読んでいて疲労感があるのは、
作者の「力み」が作品中に漂いすぎていて、それがちょっとキツイと感じた。
言いたいことや表現したいことはすごくわかる。
けれど、作者の混乱がそのまま表れていて、むしろ分かりすぎて、
もう少しトーンダウンしてから、消化してから書いた方が良かったんじゃじゃないと思ってしまった。
小説とは何か? ということを思わず考えてしまった。
ブンガクしているのかもしれないけれど、
この作品は、私にとっては、小説未満、でした。
同じテーマでも、小説として変換したら、また違った作品、違った表現になったんじゃないかな。
恐らく作者は頭のいいひとで、いろんなことを考えて考えて、考えすぎちゃうのかな、と。
文明の子
テレビの太田光より、すごくピュアで、素直で、単純で。
著 太田光
というだけで様々な第一印象を拭えないけど、そんなことがぶっとぶくらいの作品の力がありました。
2作目が出て、前作の「マボロシの鳥」と比較するとやっぱり「マボロシの鳥」は太田光が強かったなぁと思いました。
処女作より2作目がはるかに面白くなっていて、本人も「マボロシの鳥は駄作だ!」と言っているのを聞きました。
あの歳で、常に新しいものを愛せたり、発見したり、生み出したりするのがすごいし、感性の才能を感じる。
さらに文中にもあった、「未来はいつもおもしろい」という文章が、極端ですが、震災後の日本だったり、太田光の才能の無限さを表現してるような気がして、とても心に響いて大切にしたい言葉、常に頭においておきたいなぁとそんな風に感じました。
評価は3つです。ベタですが才能に限りをつけてほしくないと思い、3つにしました。
どんどん作品を作ってほしいです。3作目を出したら、また「文明の子は駄作だ!」と言ってほしいです。
ぜんぶの後に残るもの
私は、この方の文章と感性の独特な先鋭さがとても好き。
日経新聞の夕刊に掲載されていたエッセイもリアルタイムで読んだとき、
なかなか、他の人がはっきり言えない感覚、でも市井の感覚、でも独自なもの
を打ち出しておられて、関心していました。
この本は、週刊新潮の連載がかなりの部分を占めるけど、
一部、震災直後の時期の日経夕刊のエッセイも交えています。
今の時代をより深く考えるために、
どのような力をもってしても「奪われないもの」とは何かを
震災後の今考えるために
この本を読んでみてください。
追伸:深刻な話ばかりではなく、つい笑っちゃう話ももちろん多いです。
(作者のファンにはいわずもがなでしょうが)。