イグアナの娘 (PFコミックス)
母の愛情に飢えて何かを感じている人には一度読んで頂きたいと強くお薦めをします。
小学生の頃に見てとても心に残っている、私にとっては数少ないドラマで当時の菅野美穂さんがとてもかわいいですし、エルトンジョンの曲もすごく綺麗でテレビで聞く度にうっとりしていました。
内容は、主人公のリカが可哀想でとにかくずっと切ない、、母の非情さは見ていて頭にきながらも残酷さに人間らしい情もなぜか強く滲み出ていて切ない、妹はひいきされ恵まれて意地悪な子にも映るのですが、生身の姉妹の暖かみもあります。母に虐められるリカの感情を思うとしめつけられる様ですが、あくまで恨みは持たず健気な姿と、妹よりもそんなリカと近くなっていく昇くんとの関係にも少女心をガシッと掴まれていました。
最近原作を偶然本屋で見つけて手に取り、萩原望都さんという作家さんを初めて知りました。この作家さんの描く心理描写は知性的で温かく、これを読んで共感している自分の持つ心の傷を、これを読んだ事を手がかりに癒していこうと思えます。 物語やセリフから、現実の人間関係や感情や社会性について普段目には見えないけどそこにあるものがあぶり出されて、深く考察する羽目になります。
リカは自分の顔がイグアナにしか見えないので、自分がみんなと同じ人間に扱われる事さえ不思議に感じもします。母親からは、いつも虐げられ幸せを望まれません。「あんな子が頭が良いの!?妹の○ちゃんよりも!?」と妬みさえ持たれ、劣等感を植え付けられたハンデを持っています。
けれど、最後に母を穏やかに受け入れ愛する事ができるのです。
イグアナの娘 1 The Daugther of IGUANA [DVD]
私が初めて菅野美穂さんを知るきっかけになったドラマです。
萩尾望都先生の同名漫画が原作ですが、内容はけっこう変えられています。
短編の話を連続物に書き換えたので、エピソードが増えているのです。
それだけに、リカの人物像や、母の心の描写が分かりやすいと思います。
菅野美穂さんの出世作と言ってもいいでしょう。
再放送して欲しいなと思っていたので、DVDになったのは良い機会だと思いました。
イグアナの嫁
「ツレがうつになりまして。」で、旦那さんの鬱との日常をカミングアウトされた細川さんのコミックエッセイ第2弾。
しかし、内容は、家族(息子)イグアナ「イグちゃん」との絵日記。
大きなは虫類「イグ」。でも大切な家族の「イグ」。
イグが日常の風景に自然にいてくれたから、このご夫婦は、まったりと暮らすことができたんだなぁと思った。
前作では「鬱の話」がメインだったが、それだけではなくて、ほこっりした日常がつづられている。
ほんわかとしていて、じ−んとくる、すてきなエッセイだ。
(残念なのは帯がとてもすてきなイラストなのに、外すとまっさらなところ。
ちょっと寂しい。)
夢見るビーズ物語
『マージナル』や『銀の三角』などで素晴らしい衣装デザインを描かれた萩尾望都氏のオリジナルビーズ作品に興味があり、購入しました。とはいえもともとビーズ自体にはあまり関心がなかったので、漫画ほどの期待感もなく本を開いたのですが…一作目『少年の花冠』で思わず息をのみ、ページを凝視すること数分。そこにはもう2度と会えないと思っていたエドガーがの面影が!これをエドガーの目覚めと見るか、タイトルどおりビーズが紡いだ「夢物語」と見るかは、読者それぞれに委ねられると思いますが、『ポーの一族』を思うと今でも切なさに胸が痛むファンの方には、このページだけでも必見です。
本自体は「萩尾望都キャラクター+ビーズ作品+詩」の見開きコラボページとエッセイコミックスが交互に掲載され、最後に萩尾望都氏へのインタビュー、オリジナルビーズ作品のアルバム、掲載されているビーズ作品の作り方、という流れになっています。エドガー以外にも、オスカーやメッシュ、タダ、『マージナル』の世界など、漫画としては完結してしまい、新たに出会うことはないと思っていたキャラクターたちや世界が、美しいビーズ作品とともに蘇ります。それは、まるで読みながら自分が過去に引き戻されるような感覚でもあり、キャラクターたちが過去から現在に蘇ったようでもあり、連載終了後は私たちから見えない世界で生き続けていたキャラクターたちがふとこちら側にメッセージを送ってくれたようでもあり、またはビーズとともに紡がれた単なる気まぐれな夢物語に過ぎないようでもあり…。萩尾望都ファンにとってはキャラクターたちへのいとしさが増し、ビーズ好きならば純粋にビーズ作品の造形の美しさに心ひかれ、楽しむことができる一冊ではないかと思います。
近い将来、萩尾望都氏の作品世界やキャラクターと、氏のオリジナルビーズ作品をコラボした、作品展なんかが開かれると嬉しいなぁ。そしてその写真集(画集?)なんかが発売されると、もっと嬉しいなあ…なんて夢見てしまいました。
イグアナの娘 (小学館文庫)
イグアナの姿で生まれた女の子を主人公とした表題作のほか、現在の普通の家庭が舞台の短編5編が掲載された本です。
自分の姿がイグアナに見えている主人公が成長していく表題作は、設定が奇抜なのに淡々と描かれていて、各人の心の動きがよけい切なく伝わってきて、評判どおりの名作でした。
同作者の初期の作品「毛糸玉にじゃれないで」に似た雰囲気のお話の短編集でした。