丘の上の邂逅: 三浦綾子生誕90周年記念出版
最初に三浦女史の本を読んだのは10代の頃で、かなり昔のことになる。キリスト教に関する著作が最初だったと思う。
当時は私も旭川に住んでいて三浦女史もご存命であった。
会って話してみたいと思っていたが、諸事情でお会いすることはなかった。
当時、彼女の小説やエッセイなど色々読んだが、小説やエッセイを2度読む性格ではなかったので、その後、長らく彼女の著作に触れる機会はなかった。
たまたま書店でこれまで本にされなかったエッセイが本書として出版されているのを見て、なつかしくなり購入して読んだ。
若いときの彼女のエッセイへの印象は直裁的かつ日常的な視点という印象だったと思う。
今、改めて彼女のエッセイを読んでみて当時の印象は外れていたわけではないが、見方が浅かったことを認識させられる。
彼女はキリスト教徒であり、視点の基本としてキリスト教的価値観が生きている。
小さな花に感動できる、小さなできごとに深く思いをめぐらす、彼女のエッセイの筆致は決して美麗でも詩的でもないが、やはり背景にキリスト教に培われた深い視線と思索が感じられた。
三浦氏のエッセイが好きな人は一読の価値があると思う。
母 (角川文庫)
87歳の生涯をおくった、骨太な小林多喜二の母セキ。多喜二や5人の兄弟姉妹を見守り、夫を信じ、懸命に生たセキ。
貧困の中で生まれ育ち、嫁ぎ先でも貧しい暮らしが続いたが、それを当然と思い、ただ6人の子供達を愛し懸命に見守る姿の骨太さが印象的だった。そして、家庭の事情で結婚したものの、その夫に対しても信頼を決して忘れず、大切な伴侶として、共に一所懸命働いた姿が美しく見えた。三浦綾子氏はセキをおおらかな人と解説してるが、その反面、本人の言葉では「不安症なんだよ。それで子供達にも心配かけてしまってる」と語っているのが印象的。多喜二の虐殺以後、セキの心が混沌となるが、キリスト教を通して生き方のヒントを得て「心安らか」になった。多喜二の死の悲しみから立ち上がり、気丈で丈夫な体で87歳の一生を終えた。「人が喜んでくれるのは、何より力になる」というセキの言葉の通り、多喜二死後も懸命に生きた姿が輝かしかった。
解説に、三浦綾子氏はセキの心中に共感してセキを描き、多喜二を虐殺したような暗黒の時代を再びもたらしてはならないという祈りが込められていると書かれていた。まさに、終戦記念の8月に読むに相応しい一冊。
おねがい☆ティーチャー オリジナルドラマアルバム Vol.2 「みずほ先生でいやぁん」
ラジオ番組「みずほ先生のはちみつ授業」でオンエアされたオリジナルドラマ+ラジオ未放送ドラマを収録したドラマアルバム第2弾。
キャストも主だった顔ぶれに加え、この巻では江田島このはと山田先生も加わり、抱腹絶倒の話あり、思わずニンマリの話ありで、アニメ本編より面白いと言う声もある。
ラジオを聞けなかった方にはぜひお勧め。買って損はない品。
なお、ラジオドラマはこの巻で終了する予定だったが、「はちみつ授業」が好評につき放送延長されることになったため、3巻目もリリースされる。
旧約聖書入門―光と愛を求めて (光文社文庫)
聖書というと、ほとんどの人が読んだことがないでしょう。
特にイスラエル人の歴史である旧約聖書は、読むのが大変です。
そんな旧約聖書をわかりやすく解説してくれるのがこの本です。
旧約聖書は分量が大きく、読むのは信者であっても大変です。
その中で重要部分「神」と人間が触れ合う部分を、小説風に
わかりやすく解説してくれます。
さすが小説家だけあって、聖書をごく普通の人にもわかりやすく
書いてくれます。
個人的には、ソドムとゴモラの崩壊が一番面白いと思いました。
少しでもキリスト教に興味がある人に是非お勧めの一冊です。