カビリアの夜 完全版 [DVD]
トラウマという言葉を安直に使ってしまう方は、この映画を見て考え方を少しだけ変えたほうがよい。心の傷、などという表現を超える体験を何度も繰り返す主人公が、どのようにしてそのあとの生活を始めるのか。ここには人間にもたらされる奇跡的な救いが、さりげなく描かれている。中年以降の方に強くお勧めします。
突然炎のごとく〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選9〕 [DVD]
ファム・ファタールは独占できない
女神を地上に降ろしてはいけない・・・
幾多の言葉を繰り出しても、語り尽くせない映画の一つ。
カトリーヌ(J・モロー)というファム・ファタールをめぐる、二人の男ジュール(オスカー・ウェルナー「華氏451」)とジムの三角関係と奇妙な同居生活が描かれる。
J・モローがヒロインを演じなければ、成立しない映画だったのかもしれない。
「彼女は美しくないけれども、女そのもの」
「嘘は焼いてしまう」
いくつもの台詞が輝いて、心を奪われる。
また、印象的なシーンが多くあり、カトリーヌが突然川に飛び込むシーン、男装してざっくりとしたセーターを身にまとい、口ひげを書いたカトリーヌの姿、自転車を走らせるシーン、カトリーヌの顔をジムが指でなぞるシーンなどが忘れられない。
第一次大戦前のパリから描かれ、モンパルナスの自由で退廃的な雰囲気が伝わり、戦後のシーンではJ・モローの衣装(モローの自前の衣装)が楽しい。
一人の男が独占するには手強すぎて、つかみどころのない奔放な女、カトリーヌ。
とらえどころのない女だからこそ、ジュールとジムはカトリーヌの魔力から逃れられない。
「どんな男といても満足したり安住できない女」は、つかまえてはいけない。
ただ崇めているだけの方が傷つかない。そうとはわかっていても、恋愛は理屈ではないから、人生は面白い。
皮肉なラスト・シーンには衝撃を受けた。
プレイズ,ニーノ・ロータ
このCDは、イタリアのCAMから発表された"Rota Tutti Filmidi Fellini”と”Nino Rota Musiche da Film"からニーノ・ロータの自作選集として日本で編集されたもの。演奏は、ニーノ・ロータとフェリーニが監修し、カルロ・サヴァーナがオーケストラの指揮を執っている。
ニーノ・ロータこそ、巨匠の名に相応しい。ニーノ・ロータが作曲したとりわけ有名な17曲が納められていて、まず馴染みのある曲ばかりだろう。
「ゴッドファーザー」「ロミオとジュリエット」「太陽がいっぱい」「道」「ゴッドファーザーPARTII」など、曲だけ聞いていても胸に染み入るものばかり。
素晴らしい永遠の旋律がズラリと並んだ画期的アルバム。
映画ファンばかりでなく、音楽ファンを唸らせると思う。