風土記
四季折々の風物詩を姫神サウンドで味わう一枚。
曲の間に挿入されている日常の何気ない「音」がまた良い。
ほっこりとした気分にで癒されます。
5. 空と雲と友と~白い波~
9. 星はめぐり~雪わたり~
などは隠れた名曲だと思います。
現代語訳 日本書紀 (河出文庫)
いまさらながら、思いついたことがある。気がついた、というべきか、気のせいか、というべきか……。
この時、スサノヲノ尊は、年すでに長じて、八握もあるほどの長い鬚が生えていた。それなのに天の下なる国を治めることをしないで、なお足ずりをして大声に泣き喚き、頬をふくらませて怒り、かつ怨んだ。そこでイザナギノ尊が尋ねるには、/「お前はどうして、いつもそんなに泣いているのか?」/こう言ったところ、答えて、/「私は母君のおいでになる根国にお供したいと思い、それで泣いているのです。」
〈八握もあるほどの長い鬚〉を生やした、いい年したおっさんが、〈足ずりをして大声に泣き喚き、頬をふくらませて怒り、かつ怨んだ〉。
大袈裟、にもほどがある。いや、大袈裟、というより、ほとんどコントだ。めたくたである。そうして、なぜ、泣いているのかといえば、お母さんのいる、あの世に行きたいのだ、という。スサノヲノ尊は、お母さんが、大好きであるらしい。また彼は一面、「その性質が乱暴で、壊したり傷つけたりすることを好んだ」、という。ところでスサノヲノ尊には、お姉さんもいる。アマテラスオホミカミだ。「この御子は、その身体が光り輝いていて、天地四方にまで光が及んだ」、とある。
乱暴で母に甘える弟に、〈天地四方にまで光〉を放つ姉。――この取り合わせって、……なんだか、太宰「斜陽」の直治とかず子みたいじゃないか? なんて思いついた、というべきか、気がついた、というべきか、気のせいか、というべきか……母の死を追うように命を絶った直治と、あの世の母を慕うスサノヲノ尊との相似なんか、……気のせいか。
大袈裟、を感じさせる表現が、実は、リアルへと肉迫していく仕掛けとして機能している点なども、太宰の文章に通じるものがあるのではないか? なんて、思いついた、というべきか……気のせいか。
話が飛ぶが、私が一番好きなのは、スクナビコナノ命だ。
その時、海上から不意に人の声が聞えてきた。オホアナムチノ神は驚いて探し求めたが、海上に舟もなく、人の姿もなかった。しかししばらくするうちに、眼にもとまらぬほどの小さな男が、ががいもの実を二つに割ってその莢を舟の代りにし、みそさざいの羽を着物の代りとして、波のまにまに浮びながら、岸に寄って来た。
この続きが、また、私は好きなのだが、ここでは省略する。はじめて酒を作ったのは、スクナビコナノ命である、という。あるいは、それは芋焼酎であったかもしれない。
日本書紀(上)全現代語訳 (講談社学術文庫)
『日本書紀』が現代日本語で読めるという素敵な文庫本です。
『古事記』よりも内容が豊富な割には従来あまり一般的には親しく読まれることの少なかった『日本書紀』が、本文庫では平易な現代語に訳されています。
もちろん、もう少し注釈を施しておいて欲しかった等といった注文をつけることは出来ますが、袖珍本で『日本紀』の世界が気軽に楽しめるのですから、先ずは満足せねばなりませぬぞえ。
巻末の小見出し索引や下巻の年表・系図などの史料も結構役に立ってくれましょう程に。
古代日本史に関心のある人も無い人も、神話伝説が好きな人も好きではない人も、どなたも挙って御一読あれかし。御損はありませぬぞ。
古事記 (岩波文庫)
岩波文庫の原文版『古事記』のワイド版である。一応注釈がついているが、全くの原文なので難解な古文の読めない一般人には活字が大きいという以外にメリットはないと思われる。各出版社から出ている現代語訳と併せて利用すれば良いかもしれないし、逆に現代語訳で『古事記』を読んだことのある方ならば、原文版として揃えておくのに適当かもしれない。講談社学術文庫から出ているものは三巻本であるが、原文と全訳注がついているので「これから古事記を」という方には、むしろ学術文庫版の方をお勧めする。ただ活字が大きいということはやはり長所である。
現代語古事記: 決定版
ページをめくった瞬間からヤマタのオロチやイナバのシロウサギまたヤマトタケルノミコトやアマテラスオオミカミなどなど 呪文のような言葉を昔話として聞かされていた幼い日の記憶が生々しくよみがえりました 日本人であること神話の国に生きていることを否応なく覚醒させられる国民必読の書といっても決して過言ではありますまい 紀元は2670年万世一系の天皇がおわしますゆえに今と昔が現近古代が連綿とつながって何の不思議もない 世界史に人類の歴史に稀有の物語であります
内外に山積する諸課題解決の鍵が随所に隠されてもいます 大臣とはまして総理大臣とはいかなる職責があるのか 官僚やお役所はどうあらねばならぬのか 帝国憲法の理念に帰り十七条憲法の理念に帰る 治める者と治められる者の運命共同体的一体感が治められる一億国民にはまだ残っている 治める者は襟を正して天皇に奉仕せよとは読み過ぎでありましょうか
「波の声止まれ 風の声止まれ 首里天加那志 御顔拝ま」18世紀琉球の歌人恩納ナベの詩を正調の囃子として贈り古事記レビューとします