夢を食いつづけた男―おやじ徹誠一代記 (朝日文庫 う 3-2)
この本は予想に反して私には難しい本であった。不思議な本であった。
しかし、やっと分かったような気がした。植木等がこの本を書いて見つけた出した答は何であったか、という事を。
植木等は父親の生き方を「支離滅裂」と表現した。私はある日この言葉を「人間とは支離滅裂な存在なのだ」と読みかえられる事に気が付いた。しかし、そう読みかえられるようになるまで十年近くかかった。何故こんな事に気が付かなかったのだろう。目から鱗が落ちたような気がした。
人間は多面的な存在なのだ。表面的にはこうだけれども実はこう、というような人間観が世の中には満ち溢れている。しかし違うのだ。二面性などと言うもんじゃない。もっと複雑な多面的な存在、矛盾する沢山の要素で構成された存在なのだ。植木等はそれを「支離滅裂」と、たった一言で表現した。人間とは支離滅裂な存在である。しかしその中には大概一本の強い筋が通っているものだ。そのことをこの本は訴えているような気がしてならない。
父親の生涯を綴るという形をとりながら、深い真理に触れさせてくれるような、なんとも不思議な本である。
金田一耕助TVシリーズ 不死蝶 [DVD]
1978年に全3話で放映されましたが、今でも心に残るドラマです。
特に鮎川マリ役の竹下景子さんと金田一耕助役の古谷一行さんの対決(敵ではない)が面白かった。
竹下さんは当時23歳位で、とても可憐で素適な女優さんでした。
今回28年振りに観られるかと思うと、とても楽しみです。
物語は何となく覚えてますが、早くDVDで観てみたいものです。
喜劇人に花束を (新潮文庫)
小林信彦先生の喜劇人論です。
もう植木等さん、藤山寛美さん、伊東四郎さんの評伝といっていいでしょう。
冷静な客観的な分析の中にも喜劇や喜劇人への愛情がうかがええます。
先生ご自身のエピソードも細かく書いてあります。
最近なくなった谷さんや森繁さんのこともぜひ書いてほしいですね。
ガチョーン伝説
誰もレビューを書かれていないので、僭越ながら私が.....エッヘン!!
谷 啓は、クレージィーキャッツの植木、ハナに続く第三の男として、谷ダー、ガチョーン、ビローン等の言葉を駆使し、ちょっとストイックそしてエクセントリックな演技で一世を風靡しました。
現在では、釣りバカ日誌、TVの出演でよく知られ、先日亡くなられたのは、よくご存知だと思います。
このCDは、その谷(呼び捨て申し訳ない。)の代表作を集めたもので、私たちの年代では、図々しい奴、愛してタムレ、ヘンチョコリンなヘンチョコリンな娘等は、懐かしい曲です。
また谷は、シテイースリッカーズに参加していて、そこで植木と知り合うのですが、そのへんのところは、このCDの解説書、また、テレビの黄金時代等を参考にしてください。ただし、ジャズメンは大法螺吹きが多いので、話半分に聞いてください。
そして谷は、スウイングジャーナルのトロンボーン部門でランクインするぐらいの腕前でしたので、その片鱗は、スターダスト等で確かめられます。また、自宅録音で演奏は、ムーンライトセレナーデ、しかし、歌っているのは、星影のワルツといった珍曲も収められています。
願わくば、アイスティルクレージーホーユーも収めてほしかったな。これなかなか良いです。また、映像もつけてほしかったな......
でもマニアの方には、お勧めです。