科学者の本棚――『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで
本書のように多数の執筆者がそれぞれ本を紹介した本には、失望を感じることが多かった。経験では、読んで面白かったり、そこで取り上げられた本や執筆した著者の本を読んでみたくなるのは、良くて2割ぐらいという感じである。しかし、本書は、その割合が9割ぐらいだった。
雑誌「科学」に連載されたもので、63人の科学者が「心にのこる一冊」を選び、選び出した本の魅力だけでなく、選んだ理由や、執筆者に与えた具体的な影響などについて書かれている。なお、帯には「64人の科学者」とあるが、これは故・戸塚洋二氏の特別対談が収録され、氏も含んだ人数である。
成功した理由の第一は、本の選定だろう。専門書を選んでいる人もいるが、マンガやSF小説、よく知られた啓蒙書や入門書がかなりある。第二に、原稿の分量。1回が、400字詰原稿用紙約8枚程度と思われる(新聞などの書評欄は概ね、これよりはるかに短い。私の購読している新聞は2枚程度)。専門書を選んでいる執筆者の場合、読む前には、どうかなと思っていたが、原稿の分量に余裕があるため、選んだ理由や執筆者の科学に対する考え方にもかなり丁寧に触れられているので、がっかりさせられることが、ほぼなかった。
最も強く印象に残ったのは『ブリンジ・ヌガグ』(筑摩書房)の紹介である。ここに書かれた文章を読んだだけでも、戦慄を覚える内容である。
意外と進路の決定を遅くしている人が多いこと、それと関係するが大学卒業後に理系から文系に重心を移動した人がかなりいることなど、“本”に関する知識だけでなく、科学者という仕事についても得ることが多かった。
アストロボーイ・鉄腕アトム Vol.1 [DVD]
かなり、設定が違っている。
途中で出てくるキャラの設定、およびストーリーが変わりすぎている。
それに、天馬博士のエピソードはあまり原作では書かれていなかった。
白黒の「鉄腕アトム」、カラーの「鉄腕アトム」は故手塚治虫が
指揮していたので良かったのだが、
今回はストーリーが故手塚治虫の「鉄腕アトム」のテーマを主体に
取りすぎてしまい、本来の面白さが無くなってしまった。
やはり、「時代」という、大きな壁だろう。
また、監督は本来、手塚眞氏(または、故手塚治虫氏の遺志を引き継げる者)がやるべきだったと思っている。
原作の鉄腕アトムの世界と、ASTROBOY 鉄腕アトムの世界は
違う部分が多いのでおすすめはしない。
ただ、CGは良かった。いろんな部分で美しいCGが使われていた。
なので故手塚治虫氏の尊敬も込めて、星3つ。
PLUTO 5 (ビッグコミックス)
戦うための「回路がない」エプシロン。
一方「戦うためにできている」ヘラクレス。
人間をはるかに凌駕する能力を持ちながら、不要な「回路」をもたないロボット。
60億の人間の人格をシュミレートされた、目覚めない人工知能。
人工知能を目覚めさせる方法はわかっている。それは、「偏り」を注入すること。
そして・・・モンスター・プルートゥ。
現代の日本の、おそらくはそれを先取りする形で現れるネットの風景と、
そのモチーフが、著しく重なっている。
「とびお」を作って一緒に暮らす、天馬博士の悲しみ。
愛するものの心を求める、エゴのかなしみが、そっと置かれ、
憎悪のもつ悲しみというか、憎悪が人間のなにかを支えているようにも思われる
そのテーマに、かぎりない切なさを感じる。
私は、アトムに、目覚めて欲しくない。
あるいは、目覚めて欲しい。
ごく普通の、なんのとりえもない、少しだけ聡明で輝きにみちた、
平凡な子供として。
手塚先生、締め切り過ぎてます! (集英社新書 490H)
手塚治虫の元チーフアシスタントの著者が、仕事場での手塚治虫氏について書いた本です。
「まんが道」など手塚治虫にあこがれてマンガ家を目指した人たちの描く氏の姿とは、ちょっと違う視点で書かれていて面白い本でした。
まんがの創作のために、ふたりで戦争の思い出を語り合ったりする場面などがでてきて、同世代のアシスタントをとてもたよりにしている様子が垣間見られます。
また、カンヅメのために同じ旅館に手塚先生・福井先生・馬場のぼる先生の巨匠三人が泊まって、仕事をしてもらうはずが「オーソン・ウェルズ」のマネをして大騒ぎして仕事にならなかった。
などというほほえましい出来事も載っています。
「腹ばいになって大音響でレコードをかけ原稿を描いている手塚先生」を描いた著者のイラストものっていて
「本当にこんな姿で、原稿を描いていたんだ……!」
とあらためてびっくりしました。
小指から手首までの大きなペンだこのエピソードなど
「手塚治虫という人は本当に才能あふれて、また努力もおしまなかった人だったんだ」と再認識しました。
8マン〔完全版〕(1) (マンガショップシリーズ)
最近映画で「8マン」を見まして、確かこんなんじゃなかったよな、と思いまして、昔懐かしいサンデーコミックスを購入して読み始めました。本当によくできた作品だと改めて感じました。時代を超えた名作ですね。何十年ぶりに読んだわけですし、当時と今とでは科学技術も国際情勢も相当な違いがあるはずなのですが、読めますね。8マンをご存知の方にこそ読んでほしいと思います。