A Coming of Age
1stに比べると大人っぽい雰囲気が漂う新作です。
アリ嬢のボーカルも声を張る箇所が少なめで落ち着いた印象です。
あのキッチュさが好きだったので初聴は若干の肩透かしを喰らいましたが、
1stの時点で相当に作り込んだ完成した音作りだったので、
今回もポップスとして、ロックバンドとして上等な仕上がりとなっています。
相当良いエンジニアが仕事をしているようで、
各パートの音圧はでかいのに他パートの音を潰さずにハッキリと聴き取ることができます。
Six White Russians & A Pink Pussycat
これが出てから半年以上、毎日のように聴き続けている。飽きない。
どうしてこんなにナチュラルに音楽をやれる人たちが存在するのか不思議でならない。それはきっと彼らのライフスタイルに奇跡的に合致しているからなんだろう。
M.7 "Pressing"では、イントロのギターのメロディラインからまず骨抜きにされ、次にボーカルに骨抜きにされ、唐突に現るトランペットに骨抜きにされ、そして完全なボサノバへの転調で腰が砕け、気付いたら僕は脂肪と皮だけになってしまうのだ。アウトロの締めまで抜かりなくハイセンスだ。
捨て曲は無し。アルバム全体の流れも至高の完成度。こんなに楽しそうに音楽を奏でて、こんなに素晴らしい作品を産めるなんて、ずるい。奇抜性や斬新性に追従する音楽に食傷だった僕の耳に、このアルバムは何の障りもなく、まるで水を飲むようにすんなりと浸透してきた。ああ、美しい。このままでいい。ルームイレヴン、ずっとそのままを生きて下さい。