雪の断章 (創元推理文庫)
私が初めてこの『雪の断章』を手に入れた場所は古本屋でした。
まだ高校生だった私は一気にファンになり、他の佐々木丸美の作品を購入しようとしたら、絶版、しかも今では著者も死去。
絶望でした。
だから復刊はとても嬉しいです。
手元にある『雪の断章』は表紙がすでにボロボロで取れかかって、買い換えたかったのでなお嬉しいです。
私のお薦めは『雪の断章』『忘れな草』『花嫁人形』『風花の里』です。
この4編は繋がっています。
事件も起こりますが、推理小説というよりは恋愛小説でしょうね。
孤児だった少女が周りの人に支えられながら思春期を経て大人へと成長していき、
その恋心がちょっとメルヘン的に書かれているので、男性は読みにくいかもしれません。
私も通常クサイ作品が好きではありませんが、
これは淡い純粋な少女の心をそのまま文章にしたみたいでクサイとは思いませんでした。
(主人公が大人からスタートしてたら駄目だったでしょうけど)
思春期の女の子が一番読みやすいのではないでしょうか。
榛家の伝説 (佐々木丸美コレクション)
前に図書館で読んで好きになった作家さんです。本を持っていなかったので購入できてうれしかったです。何ってうまくいえない。でもそばに置いておきたい本が私にとって佐々木丸美さんの本です。
それまでのシリーズも読みましたが少しタッチが変わってしまったようにも思います、でも物語世界がさらに広まったようで、続きを読めればなって残念です。千波ちゃんの後を追っていた涼子もずい分成長して素敵な女の人になりました。私も勉強すれば、こんな風に成長できるのかなと思ったら嬉しくなりました。
これからもどうしていいか判らないとき、繰り返し読みたい本です。佐々木さんが耳元で何か囁いてくれるかな。
影の姉妹 (佐々木丸美コレクション14巻)
隠れ里に暮らす美しい双子の姉妹。そこに奉公にきた、ひとりの少女。ともに邇邇玉(ににぎ)というひとつの名前で呼ばれる姉妹の秘密に少女が気づいたとき、彼女もまた、不思議な遺伝子のたどる長い長い物語に組み込まれていく。それは、愛と罪にまみれた物語。愛あるが故に罪を犯し、去っていく者たちの物語。
隠れ里に住む者たちの揺るぎない愛情と、悲しい罪の意識が、詩的な美しさを持つ文章によって描かれており、その切なさに心を激しく揺さぶられました。 今まで読んだ佐々木丸美さんの作品の中では、私はこれが一番好きです。
橡家の伝説 (佐々木丸美コレクション)
『館シリーズ』の新展開編、『伝説シリーズ』の一冊目。「橡」は「つるばみ」と読みます。
現代科学・社会を一変させてしまう大いなる遺産は、封印されたまま三人の女性に託された。それぞれ別の時代へ向かい、子孫までこの遺産を守れ。三人の末裔が再び集まるときこそ、遺産の封印が解かれ本当の姿を現すだろう、との声に導かれて。時間のひずみに落ちて、偶然に遺言の場に居合わせた主人公たちは、現代に戻ってから三人の子孫を探し出し、遺産に隠された謎を追いはじめる。
時間移動、輪廻転生、心理学など、著者が長い間書き続けたテーマが詰め込まれた、壮大な伝奇SFミステリ。後半が駆け足気味なのがちょっと残念。長くなってもいいからじっくりと書きこんでいたなら、とんでもない傑作になっていたろうに。それを差し引いても、充分に楽しめる一冊です。