POCKET MUSIC
MOONレーベルでのオリジナル・アルバム2作目。
当初1985年リリース予定だったものが、満足のいく出来にならず、試行錯誤・難産の末に生み出されたものです。86年4月のリリース当時「なんで達郎さんまでがコンピュータ音楽を?」と少々面食らった覚えがあります。しかししかし、当時レコーディング環境のデジタル化が進んでいく中で、「本質は変えずに、時の試練に耐え得る音楽を作り続けるために…」「MORというコンテンポラリー音楽の宿命」と、まだまだ発展途上だった中、果敢に挑んだ作品です(達郎さんの担当楽器のクレジットに[PC-8801][PC-9801]とある事で、時代を感じます)。音の好みはいろいろあるでしょうが、初版アナログLP・CD盤では如何せんクリアな半面、音の平板さ、音圧の弱さなどが目立ってしまった感があります。でも91年リミックス&リマスター盤はその欠点を吉田保さんの「魔法」で、別物と言っても過言でないほど深遠な音へと改められています(初版盤の音も嫌いじゃないけど・・・)。所謂「打ち込み」なのに、どことなく漂うホーム・レコーディングのような暖かみも、このアルバムの魅力です。
モノづくりに拘る職人が、時代の趨勢の中で、その持ち味は一切変えずに道具を持ち替えた…。そういう位置づけで捉えると「なるほど!」とうなづけます。この時の試行錯誤が、後年レコーディングにPro Toolsが導入された「SONORITE」でも活かされる事になります。発売から早いもので25年…。ひいき目抜きで全く古さを感じません!
ベスト・ピアノ100
姉妹編「Best Classics 100」よりはるかに出来がいいです。
なぜなら曲目の大部分が小品なので1曲全体が収録されて
いるからです。
ピアノを習っている娘のために買ったのですが
親の私もおおいに楽しんで聴いています。
パタジェンスカの「乙女の祈り」がこんなに楽しい曲だ
ったなんて認識を新たにしました。
全体としてピアノ小品集と言えますが、協奏曲が
10曲ほど混ざっていて、これらはもちろん尻切れ
トンボに終わっています。すべて小品にしてもらい
たかったです。そのぶん☆をひとつ減らしました。