オペラCDこの一枚~99トラック+1=100いいとこ取り
一時間で60作品のオペラの聴き所と、一世紀近く前の歌手から現代の歌手までをちょこちょことつまみ食いしていくような感じのCD。悪く言えばごちゃ混ぜですが、オペラを聴く幅を広げるにはなかなかおもしろいと思います。それにしても歌手の名前がしっかりと書かれているのに、一声も出てこない間に終わるのはちょっとひどいです(笑
アメナーバル・コレクターズBOX [DVD]
BOXセットが出るなんて、制作者はファンの落としどころをよく知っています。幻の短編「ヒメノプテロ」「LUNA-月-」が収録され、今では簡単に手に入れることのできなくなっている大傑作『テシス』も入っているのですから。映画ファンを自認する方なら必携の一品です。長編3本は既に持っていますが私も買い直します。本当に優れた映画群なのです。
監督アメナーバルはまだ劇場公開長編を4作しか撮っていませんが、それだけで映画の天才の名をほしいままにしている「本物」です。今回のBOXで彼の辿ってきた軌跡を今一度追体験できることでしょう。本国スペインで興業成績の新記録を打ち立てた『テシス』、『バニラ・スカイ』としてハリウッド・リメイクされた絶品『オープン・ユア・アイズ』、その効果あってハリウッドで制作された悲痛なゴシック・ホラー『アザーズ』、そして待望の新作『海を飛ぶ夢』は感涙のドキュメンタリー…。彼が世界に通じる作品を撮り続けてきたことや、一貫して現実と夢・虚構が交錯する幻想世界をテーマとしてきたこと(ドキュメンタリーである『海を飛ぶ夢』でさえ、まさに「海を飛ぶ」素晴らしい幻想シーンが一つの山場なのです)、そして自作の音楽が映画全体に荘厳さと格調を与えていて、作品の高品位から切り離せない要素だということ、等々がよく分かるのです。
彼がハリウッドに招聘された時、彼の才能が食いつぶされてしまうのではないかと1ファンとしてはハラハラしていました。ところがどうして、かえって彼は作家的成長を遂げ、本来撮りたかったのはこういう路線だったのではないかと思わせる新作を見せてくれました。確かに『海を飛ぶ夢』はそれまでのトリッキーで驚愕のラストがある映画とは毛色が異なっています。ヨーロッパには今でも素晴らしい映画と作家が息づいており、特にスペイン映画の充実は見事なものです。その至宝、アメナーバルの素晴らしさをご鑑賞下さい。
海を飛ぶ夢 (翔年たちへ)
尊厳死という重いテーマだけに正直途中で読むのがつらくなる場面も多い。だが、その都度やっぱり先を読みたくなる。この本を最後まで読むことが自分の人生にどれだけ大きな意味を持つかということを考えずにはいられないからだ。
「あなたはそれでいいのか?」と、鋭い刃物で胸を突き刺すような問いかけをされる、そんな感覚を覚える一冊。
海を飛ぶ夢 [DVD]
人には、人とし生きる尊厳がある。しかし人として生きられないと自覚したときに、死を選ぶ権利があるのかどうか?非常に重たいテーマでした。又、実際のモデルがいたことも驚きでした。
その立場にならないと、コメントは出来ないな。やっぱり。
ただ、生きる価値の正当性を、神の名のもとに大上段に振りかざす神父に、義理の姉が「あなたは、やかましいだけ。」と言い放ったシーンは圧巻でした。
私事で恐縮ですが、介護を受けてる母が、「あなたはまだ良いほうですよ。幸せですよ。」と、何かとよそと比較して声をかけるヘルパーさんに言った事があります。「幸せとか孤独はその人の自身の問題なの。他人と比べるものじゃないのよ」と。私もその通りだと思います。
ただ尊厳死の問題は、まだまだ重たすぎる位のテーマでいいのです。
軽く考えてしまう時代が来ない事を強く願います。 ユタカ30
ベスト・モーツァルト100 6CD
ベストクラシック100が予想を上回る売れ行きを示し、『のだめカンタービレ』が800万部を突破、更に2006年はモーツァルト生誕250年。このベスト版には、多くのクラシック/モーツァルト初心者が興味を抱くでしょう。
この機会を捉えるにしては、ちょっと内容にかたよりがあるような気がします。オペラや宗教曲は、好き嫌いの幅が広くなりがちです。6枚のうち半分がそれらの曲というのは、やや多すぎるのはないでしょうか。
そのため、多くの有名な名曲・楽章が選から漏れています。フェードイン・フェードアウトなしという制約もあったのでしょうが、”ベスト”と銘打つのは、やや違和感を感じます。
思い切った内容にしたことは評価してもいいと思いますが、クラシックやモーツァルトに興味を持ち始めた方々の間口を広げるという意味では、やや不満が残る内容です。