プログレッシヴ・ロック (ディスク・セレクション・シリーズ)
プログレッシブ・ロックの中から主だった作品を紹介したディスクガイド。
自分はプログレに関しては初心者に毛が生えた程度の人間(他にも色々聴いている)で、興味があって読んで見ましたがちょっと微妙かな、と思いました。
・英国中心すぎる
確かにプログレは英国が最も盛んだったと思いますが、それ以外の国が「英国以外」みたいな扱いにされているのはちょっと残念です。プログレの良いところの一つにさまざまな国の音楽に触れる機会が増える事があげられると思います。なのでもう少し取り上げる国を増やすとともに、良いバンドがたくさんいる伊、仏、独くらいはもう少し充実させて欲しかったです。日本国内のも最後にほんのちょっとまとめられているだけ、というのはあまりに寂しすぎます。
・コレクターズアイテム的な盤が大きく扱われすぎ
「ベーシック」と言いつつも、アフィニティー、パトゥ、インディアン・サマー等、どちらかと言うとマニアがコレクションして楽しむようなタイプの作品の方にスポットが当てられがちなのはちょっと疑問。入門者もターゲットにしているならマニアの目線だけで作品を紹介するよりも、一般の目線も考慮して作品を取り扱うべきでしょう。
・カンの扱い方が・・・
カンが俗に言うプログレ4大バンド(クリムゾン・イエス・ELP・ピンクフロイド)と同等の扱いを受けていますが、カンをでっかく取り上げるならマグマやアレアあたりの代表的な個性派も同じようにでっかく取り上げて欲しかったと思います。全体のバランスを考えると、ここは順当にジェネシスで良かったかと。
総じて全体の情報量が少なめで初心者向けっぽい割にはややマニア目線になりがちな作品の扱い方にバランスの悪さを感じます。カンはマニア目線の裏返しでしょう。小さめのサイズで持ち運びやすいのは良いですが、ちょっとしたリファレンスに使うにはもう少し情報量が欲しかったです。しかしCDが売れない昨今にこういうガイド本が出たこと自体、プログレ界全体としては喜ばしい事なんじゃないかと思います。全くの初心者なら全然損は無いので、この一冊でプログレの世界に足を踏み入れるのも悪くはないでしょう。
ちなみに自分はカンが大好きで、カンのこの扱いは個人的には嬉しいですし、実際カンが後世に与えた影響力の大きさは絶大だと思います。なので個人的にはこの扱いを全力で支持します。が、しかし、これは残念ながらマニアのおじ様方の顰蹙を買うこと必死です。なぜならカンの先進性には後のニューウェーブやポストパンクの要素が多分に含まれており、それらは特にシンフォ・プログレを好むマニアなおじ様方がたいがい敵視しているものだからです。ファンサイトのレビューではシンフォニックではない、クラシカルではない、と言うだけで批判の対象になっているケースもしばしば見受けられます。なので、そうしたマニアのおじ様方の空気を(たぶんあえて)読まずにカン持ち上げた著者の勇気にはこっそりと心の中で拍手を送っておきます。
グリーン・レクイエム(紙ジャケット仕様)
私の場合、難波弘之氏のファンではなく新井素子さんの、そして原作小説のファンであったことから、当時、LPレコードを購入しました。
この頃、アニメ系のレコードレーベル各社はこぞってコミックや今で云うライトノベルのイメージアルバムを発売していました。しかしその多くはキャラクターイメージの楽曲が多く、本作のように、聴くと原作物語のシーンを喚起させる、音楽劇とも呼べる構成のものはほとんどありませんでした。そして本作は、私が聴いたこの種のアルバムとしては、ベストだったのです!
「グリーン・レクイエム」のラジオドラマでは羽田健太郎氏が、映画版では久石譲氏がそれぞれ音楽を手がけておられますが、本作は劇伴として作られたものではないが故に、前者よりも高い音楽性を誇っていると思います(世に出たのは本作の方が先ですが)。クリスタルのように透き通っている音が紡がれているのに、それでいて冷たくない音は、先に原作の物語に触れていた私には、このアルバムを通して聴くことによって、最高に映画化された「グリーン・レクイエム」を1本見終わったような気持ちになるのです。
このアルバムはずっとお気に入りの1枚なので、ずっと我が家では現役でした。他の多くのお気に入りLPレコードはたいがいCD化されていたので、ずっとレコードプレイヤーは本作専用でした。今回のCD化、実は知ったのは最近だったのでしたが、これをもってレコードプレイヤーの出番がなくなってしまうのではないか、それだけが心配です。
しかし残念ながら私にとっては、パッケージが減点対象になってしまいました。まだLP盤がある為に、今回のとことんまで縮小版にこだわったであろう本CDは、縮小ジャケットはオリジナルの劣化版でしかないのです。また、紙ジャケットCDは、他のCDと一緒に保管し辛いので…。
それでも、今回のCD化は大きな意義があります。原作者さんのように、すでにレコードを聴く環境を失ってしまった人の方が多いでしょうし、新たに原作に触れた方には、優良なメディアミックスを体感できます。映画版もラジオドラマ版も良いのですが、ラジオドラマはもとより、映画版でさえDVDにはなっていません。
原作を好きになった方には、ぜひ聴いてもらいたいアルバムなのです。きっと、このアルバムも楽しんでもらえると思いますし、それを願っています。
嘉門達夫 ゴールデン☆ベスト-オール・シングルス+爆笑セレクション1983~1989-
私はアニメ「そらのおとしもの」第5話ED曲「ゆけ!ゆけ!川口浩」について
調べているうちに本CDにたどり着き、購入いたしました。
そして私は、自ら作詞・作曲を手がける嘉門達夫氏の社会・TVに対する観察力と発想力
そして歌唱力に深く感動いたしました。
聞いているうちに自分の過去・現在が心の中に浮かんでくるようです。
やはり社会・人生とつながっていなければ
ヒット曲とはなりえないのだと改めて教えられたような気がします。
予期せぬ出会いをもたらした運命に深く感謝を。
BRAVO! [DVD]
メンバーの顔ぶれからして、期待大でした。テクニック・グルーブ感・完成度の高い演奏です。鳴瀬氏のパフォーマンスが観られなかったのが少し残念ですが…それ以外は大満足の1枚でした。近頃何かと機材、技術に頼りがちな、この世界…で2本の腕だけで、真っ向勝負という職人気質のようなものを感じさせてもらえました。
証言! 日本のロック70’s ニューロック/ハードロック/プログレッシヴロック編 (単行本)
レギュラーが、《PANTA》、《難波弘之》、《ダディ竹千代》の3名。司会が《井上貴子》。ゲストが、《土屋昌巳》、《山本恭司》、《岡井大二》の3名。という超豪華メンバーによる、《日本のロック》座談会です。しかも、ただ漫然と話すのではなく、日本のロックの歴史に沿って、その発展の過程や貴重なエピソードを、現場の当事者の視点で語る、という所が最高に面白いです。個人的には、《頭脳警察》の裏話がたっぷり読めたのが嬉しいです。この本には、続編出版の予定もあり、レギュラー、司会は同じ顔ぶれ、次回からのゲストは《鈴木慶一》、《金子マリ》、《遠藤ミチロウ》、《石間秀機》、《鮎川誠》と、これまた超豪華な顔ぶれです。ただし、この1冊目が売れないと、2冊目以降は出版されない可能性もあるということなので、興味のある人は、ぜひ買いましょう。