あんにょん由美香 [DVD]
『若くして亡くなったAV女優の林由美香が、韓国製の謎のAV作品に出演していた』という所から、彼女の幻影を追い求めてドキュメンタリーはスタートするのだが、なんとも不思議な空気感を漂わせている作品だ。
見方によっては、シュールとも受け取れるし、喪失の物語とも受け取れる。冷静になって見ると「ちょっと気持ち悪いな」と思ってしまう部分もある。
彼女と深い親交のあった関係者たちは、未だに彼女を喪失したことに対して傷をおっている。下手すれば、人の心の中に土足で踏み込んでしまいかねない重い題材だが、松江監督が林由美香の軌跡を辿る理由や熱意がいまいち伝わり辛く、この題材のリスクを扱う重みをあまり理解していないように感じた。
そもそも何故、韓国のAV作品に出演したことにそんなに拘るのか、出演している韓国のAV男優が日本語を使っていることに拘るのかがよくわからなかった。
このAV作品の、カットされていたラストシーンにあった「誰も彼女を所有することはできない」というセリフが、奇跡的に林由美香自身のことを指していたという結論で締め括られるが、松江監督自身の「林由美香は何だったのか」という結論をもっと知りたかった。
もし林由美香がこの作品を見たら、「松江君、まだまだね」と言っていただろう。
それでも不思議と見入ってしまったことと、鑑賞後に感想を言いたくなったこと、劇中に使われている豊田道倫と川本真琴の音楽がやけに良かったので星3つです。
あんにょん由美香 オリジナル・サウンド・トラック
2010年2月19日にサードアルバムを発売される川本真琴さんの歌が入ってます。
私はこの映画を見ていないし、このCDも一曲目(歌:川本真琴)しか聞いていません。
サントラなので短い曲ですが、とてもよい曲でした。
川本真琴の声って良いですね。それだけでもこのCDを聴く意味はあると思います。
曲調はゆったり、詩は別の人が書いていて、男性目線の内容。
それなのにじっくり丁寧に歌う川本真琴の声でものすごくグッとくる。
サードが待ちきれない人、聴いてみてはいかがでしょうか?
評価は一曲しかきいてないので一応星ひとつ減らしておきました。