愛の嵐-無修正ノーカット完全版- [DVD]
この作品を映画で観て、シャーロット・ランプリングのadmirerになりました。それが高じてウイーンまで行って、それと思われるホテルに宿泊してもみました。多分、実在してはいなかったのでしょう。
DVDはわたしの秘物となりました。退廃的で精神的に危険な作品です。
マルコヴァルドさんの四季 (岩波少年文庫)
20世紀イタリア文学を代表する文学者、イターロ=カルヴィーノの名作の新訳です。
1968年の安藤美紀夫さんの旧訳は、マルコヴァルドさんの四季 (岩波少年文庫 2084)
硬いところがあり、私は新訳の出ることを期待していました。
関口氏の筆は、工夫された丁寧な訳出です。
おりしも英文科学雑誌Natureの7月19日号において、イターロ=カルヴィーノのSF著作
CosmicomicsThe Complete Cosmicomics (Penguin Modern Classics)
が科学的に正しい考察に基づいている点を評価しています。
この作家は多面的ですが、その手法は「マルコヴァルド」などにみられる寓話的手法がひとつの核になるでしょう。民話を収集した作家の真面目と言えます。
カルヴィーノ アメリカ講義――新たな千年紀のための六つのメモ (岩波文庫)
本書には6回予定の講義のうちの5回分の講義草稿−軽さ、速さ、正確さ、視覚性、多様性−に、その講義の前/後に語られたかもしれない草稿−始まりと終わりーが「補遺」として加えられ収録されています。
和田忠彦さんは「解説」で“まずは一度全巻を通して、次いで、・・・この「始まりと終わり」から読み始はじめて第一回にもどる、そんな読み方をしてくださると、いっそうカルヴィーノの意図に近づくことができるのでは”と言っています。
そして私は本書を読んだ後、「持っているカルヴィーノの著作をもう一度読み返した後、この本に戻って来たいな」と思いました。
他分野にわたる評言や自己について語る様は、その意図することのすべてを私が理解できているわけではありませんが、彼の文学への取り組み姿勢や文学の持つこれからの可能性を強く感じさせるものです。
カルヴィーノの作品を呼んだことのある方にはもちろん、文章の書き手、読み手にかかわらず、文章に正面から取り組んでいる方にお勧めの一冊です。
なぜ古典を読むのか (河出文庫)
イタリア人作家による、古今東西の古典を自由自在に論じたエッセイが32篇。表題「なぜ古典を読むのか」という、カルヴィーノらしい軽妙なエッセイが巻頭に置かれ、その後は「オデュッセイア」、オウィディウスから「ロビンソン・クルーソー」「パルムの僧院」、バルザック、トルストイ、そしてコンラッドやヘミングウェイ、ボルヘス、レーモン・クノーまで、取り上げられている作家・作品はさまざま。ガッダ、パヴェーゼなどイタリア人作家を取り上げた文章も比較的多いのが、イタリア文学好きには貴重です。
訳者あとがきによると、これらの文章はもともとイタリアのエイナウディ社の文学叢書のまえがきとして書かれたものが多い、とのこと。その訳者は須賀敦子さん。本書でもすばらしい訳文を堪能させてくれます。
カルヴィーノ好き、そして文学を愛する人必読の、贅沢なブックガイドです。