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人間の約束 ニューマスター版 |
松竹ヌーヴェルヴァーグの一人とされる吉田喜重が、13年ぶりに復活した問題作品だ。それまでの吉田喜重は、ビジュアルアートの世界を追求していたのだが、この作品は正反対の現実的な世界となっている。老いをテーマとしたサスペンスなのだが、家族全員が皆違う方向を見ていて、結局犯罪にならないと、真実を見つけられない、淋しい作品だ。 |
人間の約束 |
認知症の両親を抱えた息子が必死の介護の末、母親の自殺を介助してしまう。安楽死は法的に及び道義的に許されることなのか。それともどのような事情があろうとも尊属殺人なのか。年老いた親を家庭で看るかあるいは施設など社会福祉に委ねるべきかについての見解も時代や文化背景によって異なることだろう。 心身ともに疲れてしまって親も子も自滅してしまうよりは、社会福祉に委ねるのがよいという考えも冷静で理性的な意見のように思えるが、親の介護を社会福祉施設にお願いする場合、一番の気がかりは、親がその施設で幸せに過ごすことができているだろうかということである。丁寧な看護を受けることができているのだろうか、対応は手荒ではないだろうか、親は同室のかたたちと仲良くできるだろうか、何か問題は起こしていないだろうか、と常時心配になるものである。それなら兄弟姉妹分担・協力して自分達の目のより届きやすい家庭看護の体制にすればよいではないかと言われそうだが、事情がそれを許さない場合もあるだろう。いやはや二重・三重に迷いが生じ、どれがよい判断なのか決心がつきにくく困り果ててしまい、この映画のストーリーのような悲しい結末を迎えることもあるのかもしれない。親を安心して委ねられる社会福祉の向上を願う。 登場人物のひとりひとりの立場や心情がとてもよく表現されていて、真面目に訴えかける作風であり、好感が持てる。 |
わが屍は野に捨てよ―一遍遊行 (新潮文庫) |
一遍上人についてはよく知りませんでしたが、仏教に興味があるということもありますが、何よりも「わが屍は野に捨てよ」という題名に惹かれてこの本を読みました。
空海や最澄のように、本拠地となる寺を持たず、すべてを捨てて遊行に明け暮れた一遍上人の人生には凄味があります。また、「わが屍は野に捨てて、けだものに施すべし」などという言葉は凄すぎます。これは仏教という宗教の究極のかたちだと思います。 ただ、一遍上人は初めから雲の上にいるような人だったのではなく、武士であったために犯した罪や、愛欲に苦しんだ人で、その果てに悟りに到達したのである。 作者は、一遍上人にかなり思い入れがあるように感じます。そのため、非常に読み応えのある小説になっています。 |
黄落 (新潮文庫) |
現在、お年寄の要介護者は数百万人にのぼると言われる。確かに、中越地震の中継では圧倒的にお年寄が多かったし、親の実家に行けば数十世帯の集落に小学生が2人という若年層の少なさである。「高齢化社会」というタームは今や珍しいものではないが、いよいよ日本中がその言葉の重さをどっしりと背負わなければならない時代になっている。 介護の問題は、社会問題としての第三者的な視点でも捉えられるが、自分の親兄弟や配偶者が要介護者となった場合にどう対応していったらよいかという二人称的な問題が、恐らく最も現実的である。とはいえ、今一番考えておかなければならないのは、他ならぬ自分が年老いて要介護状態となった場合(なってからでは遅い、なることを想定した場合)、という一人称としての問題の捉え方であろう。 この作品で、上記に関しての具体的な解決法が出ているわけではない。しかし、要介護者が「いい人」もしくは「悪い人」だった場合、介護の負担が重い場合軽い場合、介護者の子供・嫁・兄弟・孫など彼らを取り巻く周囲の人間の立場と取り得る態度、自分が「老怪」となった場合の処し方、そういった様々のケースにある示唆を与えていると思う。 |
思いがけずこんな 佐江衆一 を夢で見た・・・!
いま最もホットな注目を集めている 佐江衆一。約1年ぶりとなる新曲をシングル・リリースする
オススメは「白いドレスを着ているシーン」。今まであまり着る機会がなく、「嬉しくて自分でも写真を撮ってしまった」というほど本人も思い入れがある。
う~む意味深。こりゃまさにあれだね。ほら、なんつうかその、
『 恋はスペインの宿に似ている。あるものといえば自分が持ってきたものばかり。 』( メリット )
なんだか納得。
「佐江衆一『私の文学生活あれこれ』」
今日は、まちだ市民大学HATS人間関係学の公開講座で、作家の佐江衆一先生が、『私の文学生活あれこれ』と題しての講師を勤めてくださいます。 佐江衆一の...
佐江衆一「わが屍は野に捨てよ 一遍遊行」を読んで
タイトルに惑わされた。 あまり書かれたことのない一遍上人の伝記モノ、 と思って読み始めたが嶺読んでもこのブログでとりあげなかった分野、 つまり政治・宗教・性のうち、2つも該当するけれど、 こんな裏切られ方もあるのかな、と思い、読書メモとして ...
佐江衆一「神州魔風伝」を読んで
源義経、崇徳上皇、織田信長などの閭怨霊が出てくる。 (菅原道真と平将門も出てきたら、もっとすごいかな秊) 天狗、白犬も出てくる。主人公の紅之介は美男で超能力を操る。 文庫本なのに、559ページもある、 堪能した璉、という言葉がぴったりの、 ...
彡 題28回 「香多瑠亭」の詳細が決まりました~彡
佐江衆一さんの作品は、朗読の会の演目でよくお見かけします。「江戸の化粧師」は仁木照美さん が朗読されたことがあるそうですね。こちらも大変楽しみです! *やなぎは、落語でおなじみの「文七元結」です。噺家の三遊亭圓朝さんの原作でたくさんの噺家 ...
家守綺譚 (新潮文庫)
佐江 衆一(さえ しゅういち、1934年1月19日 - )は、作家。東京生まれ。本名・柿沼利招。文化学院卒。丸善、ナショナル宣伝研究所企画部長(コピーライター)を経て、1960年、「背」が新潮社同人雑誌賞を受け、『新潮』に掲載されてデビューする ...
横浜ストリートライフ
横浜ストリートライフ, 横浜ストリートライフ (1983/01) 佐江 衆一 商品詳細を見る. またも古すぎて画像がありませんでした。表紙は横浜の山下公園の一角のモノクロ写真です。 繁栄を競う横浜の裏の顔。知ってますか? 横浜というところは、人口300万以上 ...
剣の冴えは、筆の冴え(佐江衆一)か?
佐江衆一著『女剣(じょけん)』 読み終わるまで、『女剣(にょけん)』と思ってました。その方が色気があって、何となく洒落た感じがしました。読み終えて表紙を見ると、大きな文字で「じょけん」とフリガナがうたれているではありませんか、粗忽なもの ...
剣の冴えは、筆の冴え(佐江衆一)か?・・・その?
先日映画を見ていて感じたことがあります。 今の映画の映像技術は、表現出来ないものがないほどに高度な発達を遂げています。それは古典、SF、現代物その他ありとあらゆる分野に於いて、映画を素晴らしい作品に作り上げています。 ...
「黄落」 / 佐江衆一
身につまされる物語。今の時点で、どっちの立場もわかるだけに、読んでいて切ないわ。これで、片方の立場しかしかわからなくなったら・・・・たぶん、本を読んでも何もわからない状態に私がなっているということだべな(笑)
『 江戸の商魂 』 佐江 衆一
江戸の商魂 佐江 衆一 (講談社文庫) ¥580 評価…★★★☆☆ <作品紹介> 大石内蔵助の志を命がけで試した赤穂浪士の功労者、天野屋利兵衛。「現銀安売り掛値なし」で商業に革命を起こした三井高利。洒落のきいた広告で儲けた山東京伝。 ...