角川俳句ライブラリー この俳句がスゴい!
本書でとりあげられている句のほとんどは、発表当時に話題になった句ばかりだそうです。
つまり、俳句好きにはよく知られている有名句ばかりを俎上にのせているわけです。
筆者はその理由をいろいろと語っていますが、俳句中級者にとっては有名句のどこがスゴいので有名句足りえているのかを知る良い機会になると思います。
筆者は句について作者についてできるだけ短い言葉でとらえようとしています。たとえば、高浜虚子を「天才的な素人」、金子兜太を「絶対真似できない句作り」、飯田龍太を「回転し続け、信じがたいほど遠くまで行った俳人」と評しています。こういうキャッチーな一言も面白みがあって良いです。
俳句という愉しみ―句会の醍醐味 (岩波新書)
俳句は、作り手半分、読み手半分だと言われている。
つまり作り手の句を、優れた読み手が解釈して、
両方がドッキングして一つの世界が形づくられる文学だということだ。
その意味では、自分の句を雑誌などに投稿するだけでは、
なかなか上手にならない。
句会という、いわば「リング」の中に放り込まれ、
「あんたのこの句は……」
「キミのこの句は……」
と議論(?)し合うことで、
自分の句がどう解釈されるかがわかるだけでなく、
選句する眼も養われる。
1994年、厳寒の奥多摩に集った俳人は――
三橋俊雄、藤田湘子、有馬朗人、摂津幸彦、大木あまり、小沢實
岸本尚毅ら7人+歌人の岡井隆。
すでに鬼籍に入った人もいるが、一流ばかりである。
彼らがここで句会をするのだが、本書はその「実況中継」である。
「うーむ」と唸ってしまう名句も多い。
誰が誰の句を採り、誰の句に批判的だったか……など
リアルに伝わってくる。時に痛烈だが、基本的にはもちろん和気あいあい。
句会の醍醐味を知るには最高の本だと思う。俳句力はこうして鍛えられていくのです。
俳句という遊び―句会の空間 (岩波新書)
この一月から俳句を始めました。先輩で、俳句のセミプロ級の人から誘われて
その気になったのです。これまで、ある月刊誌にエッセーを連載して単行本になったりし
て、書くことは好きなのです。
恐る恐るやってみたところ、意外と面白く、先輩の指導をいただきながら、
一日一句作句しています。
同書は先輩から推薦されたもの。書店、出版社にはすでになくアマゾンで
もとめました。俳諧の世界がかくも面白いものとは思いませんでした。
「俳句歳時記」や長谷川櫂さんの「海の細道」などを求めて勉強中です。
いま70歳になったばかりですが、もう10年早く始めていればよかったと
思っています。でも、63歳までの現役時代は、心身ともにその余裕は
なかったかもしれません。