ファム・ファタル――妖婦論
ファム・ファタル。直訳すると「運命の女」であるが、「その男を滅ぼすために、まるで運命が用意したかのような女」という意味である。
本作では、主に女の側が意図してそうしたかのように描かれているが、彼女らは運命が男のために用意した女である。つまりは男の性格によって彼がどのタイプの女にはまるかがきまるわけで、関係性を一概に女だけの原因に帰すことはできない。
ここに取り上げられている女は、すべての男にとっても問題のある女である場合もあるし、特定の男に対してだけ致命傷になる女である場合もあった。その二種の女がごちゃまぜにされているだけでなく、実在の人物(よくわかっている人も、ほとんど謎の人、実在が怪しまれている人も)と想像上の人物や妖怪などが混在している。
ファム・ファタルについて語る時は、男はなぜ女を憎み、同時に愛し、好んで評判を落とし、滅亡するのか、なぜ男は悪女について語るのを好み、描くのを好んだのかについて書くべきである。それは女の問題と言うよりも、そこにはまる男の問題だからである。
作者は韓国人であろうか。朝鮮民族特有の「恨」という概念で説明してある箇所があって面白かったか、その点は突き詰められていなかった。
主に女の側の行状を描いたのでは、ファム・ファタルの本質は伝わらないように思う。
しかし、取り上げられた図版は美しく、彼女らの魅力をしっかりと伝えてくる。
三銃士 妖婦ミレディの陰謀 [DVD]
首飾り事件、コンスタンス殺害、ミレディの処刑、とほぼ原作どおりに話が進みます。
時間が約100分なのでかなり詰め込みすぎ感はありますが、ちゃんとまとまっています。
DVDのジャケットによると2004年(エンドロールでは2005年と書かれていたような・・・)に公開された映画のようです。
タイトルにもあるようにここではミレディが主役のようです。
演じるエマニュエル・ベアールは過去にマリー・アントワネットを演じた時から好きな女優ですが、ここでの冷めた感じで悪事を働く姿はちょっと無気味な妖しさがあります。
ダルタニャンの俳優がちょっと好みではないのと、ポルトスが(画面には映っているのですが)ほとんど活躍しないことがやや不満ですが、ちゃんとフランス語を話す原作に則った三銃士映画は貴重だと思います。
妖婦を演じて (ハーレクインコミックス)
モデルのリディアは男を手玉にとる悪女だと思われている。クリスティアーノは彼女に振られた悔しさから、彼女の借金を肩代わりする代わりに「僕のベッドに君が欲しい」と言って、愛人になるよう求める。
本当のリディアは幼く、クリスティアーノが初めての男性だったと知り結婚を申し込むが、彼を愛しているリディアは愛のない結婚に同意しない。
ミステリアスなリディアの本当の姿を知りたいと、彼女の秘密の箱を開けるクリスティアーノだが、そこで発見したものは……。
はかないリディアの表情が美しく、クリスティアーノもうっとりするほどセクシーな、岡田純子先生の傑作です。ストーリーの展開も原作以上に楽しめます。