無言歌 [DVD]
アイドルとしてデビュー後、メジャーなヒットがないのに20年以上も活動を続けている稀有なアーティスト「鈴木祥子」。
このDVDは、彼女の創作活動の舞台裏をドキュメンタリータッチで記録したものである。
昔「自分探し」という言葉が流行ったことがある。当時は「今の自分は本当の自分ではない。どこに行けば本当の自分に出会えるのか」と言いながら旅に出たりする若者がいたものである。
このDVDで鈴木祥子がやっていることも「自分探し」かも知れない。違いは「今の自分は本当の自分である。自分の起源はどこにあるのだろうか」ということである。
ミュージシャンの創作活動をドキュメンタリーにしたものは色々あるが、内容的にはかなり「よそ行き」の姿である。一方このDVDは「こんなにスッピンで良いの?」と言いたくなる。アーティストのドキュメンタリーとしてはかなり希少価値があると思う。
33 1/3の永遠 鈴木祥子 (CDジャーナルムック)
鈴木祥子はミュージシャンとしての経歴が20年を超えたアーティストである。
デビュー当初は遊佐未森のような「思索にふける詩人系」のアイドルであったが、才能の割には周囲の期待していた「数字」を出せず、認知度も決して高くはない。
その後アイドル路線を変更し、ロック調の曲や時には女性のドロドロとした内面を描く詞を紡ぎながらも、他のアーティストへは「音楽職人」ぶりを発揮して多数の楽曲を提供している(小泉今日子「優しい雨」など)。
このように昨今のミュージックシーンでは極めて稀有な存在である彼女の「創作活動の秘密」の一端を明らかにしたのがこの本であろう。
昔「音楽」というものは、人間の色んな情緒に複雑に結びついていた。それは本来「一言で」「ズバリと」言い表せるものではない。「音楽の情報化」が進む昨今、彼女はそれを何とかして自分の音楽で伝えようとしている。
トポフィリアという言葉がある。「人と、場所(トポス)または環境との間の情緒的な結びつき」のことを表している。例えば、ある場所に来ると感じる「えも言われない懐かしさ」や「不思議なほどの和み」などである。
人と音楽との間にもそういったものがあったはずである。
SYOKO SUZUKI Song Book I 鈴木祥子作品集 Vol.1 (1989-2009)
好きなアーティストが他アーティストに提供した曲を聞きたいと思っても、それのアルバムを探したり、1曲だけのためにアルバムを買ったりという行為は結構大変なものです。そんな問題を解決してくれるファン向けのアルバムだと思います。何枚もベストを同じ曲で組み替えているいやらしいものとは格が違います。
おまけにDisk2にはご本人のセルフカヴァーが付いていると祥子嬢はなんとも気前が良いのでしょうか。
ラストの『Life』はあまりにも痛くてせつなくて川村カオリVersionもセルフカヴァーVersionも良いです。
良いアーティストですね鈴木祥子。
SUZUKI SYOKO with JACK-TATI & KAWAI SHINOBU LIVE AT GB[DVD&CD]
このライヴは、実際に見に行ったんですが
さすがに現場にはかなわないものの、祥子さんの
ライヴのよさが味わえます。
映像の出来がどうのこうのじゃなくて、祥子さんの
演奏のすばらしさを楽しめると思います。
まぁ個性的なので、必ずしも万人受けするとは言い
ませんが。
GOLDEN☆BEST 鈴木祥子~The Ballad of Syoko Suzuki
ソングライターとしての力量、声の響きの素晴らしさなど鈴木祥子氏の魅力は他のレビュー参照。活動初期に関してはCDの音質や活動環境について、思うようにならなかった苛立ちを本人も折に触れて吐露されている。私はその頃の作品を聞くと、「もっと良い作品になっていたのかなあ」と作品そのままに向き合えない時もある。その点、本ベストCDは音質的にはリマスタリングによって安心して聞けるようになっているのが魅力だ。
詳細に及びディスコグラフィーなど丁寧なつくりもうかがえるのに、残念なのはライナーノーツ。「その人が愛する「音楽」もまたかけがえのないひとつのキーパーソンである」「「孤独」という言葉がとても市民権を持っている」2箇所のみ引用するが、気になる表現は他にも多数。劇作家を名乗る人がこんな日本語を使うのもどうかと思うが、校正は担当者の仕事。新潮社の編集者レベルの仕事しろとは言わない。作家の原稿にケチつけにくいのもわかる。なにより、締め切りがあったんであろう。でも、結局書き手に恥をかかせることになるよ。内容も、どういう読み手を想定して、どういう目的を果たしたいのか、あいまいに書いたのがありあり。十人並みの印象論をだらだら書かれても困る。こんなことになったのも、原稿依頼の仕方が悪いんだろうと想像する。
ま、ライナーノーツは読まなければいいだけの話で、本CDにとっては小さな瑕疵でしかない。ballad編に続いてuptempo編を期待させてしまう力を持つ好編集盤です。