オアハカ日誌
以前読んだダロルド・A・トレッファート「なぜかれらは天才的能力を示すのか」というサヴァン症候群に関する集大成的な本の中で、趣旨上、多くの神経科医の所見や著書からの引用が紹介されていたのだけど、中でもオリヴァー・サックス氏の言葉は人間味と慧眼を持ち合わせていて、抜きん出て印象深かった。検索すれば邦訳された著書も多い。片っ端から読んでみようと思った、本書がその1冊目。本職の傍ら、シダ類をこよなく愛好するサックス氏。シダの楽園であるメキシコ・オアハカ州への一週間の観察ツアーに参加して、動植物のエキスパートである同好の士達と旅を共にする。
サックス氏はシダ愛好者ではあるけれど、ある程度の学名と種類を弁えたらあとはただその姿を愛でる程度で満足であったようだ。ところが、これはどんな同好サークルでもそうだろうけれど、「好き」のランクにも上には上がいるもので、参加者はプロ・アマチュアを問わず氏の情熱を遙かに上回るテンションで訪れる先々で繁茂するシダに食らい付く。その微妙な温度差が、卓抜した人間観察の眼を持つ著者によってユーモアたっぷりに記される。氏が彼らと同じテンションを持っていたらきっと本書の滋味は半減しただろう。交わされる会話の内容は自然科学の広範な領域にまたがり、著者をはじめ参加者達の並はずれた知識量には舌を巻かされる。そらで飛び交う学名の羅列はまるでハリー・ポッターの呪文のようで、特にその密度の高いページを読んでいると次第にクラクラしてくるが、参加者が心底楽しんでいる様子が、それを見てうきうきしている著者の文章によって読み手に伝わってくる。良い旅行記の例に漏れず、読後は一緒にひんやりとした草の香を嗅いで回ったような錯覚を覚える良書だ。
B19 地球の歩き方 メキシコ 2009‾2010 (地球の歩き方)
メキシコシティで、アカプルコへ行くのに、乗り換えだったのですが、
時計を直すのを忘れていたので、飛行機に乗り遅れて、結局、ホテルに一晩宿泊しました。
アカプルコは、ホテルにプールがあり、毎日泳ぎました。
すこし寂れた感じがしたのは、昔のリゾートで、最近はフロリダの方が流行っているからでしょうか。