松任谷由実 THE LAST WEDNESDAY TOUR 2006 ~HERE COMES THE WAVE~ [DVD]
本作は昨年7月のライブを記録したもの。前半は夏の海辺をイメージさせるコンセプトで統一された見事なショー。海辺のコテージと灯台を中心にしたステージ・セット、車、優雅な踊りと楽しいダンス、そして光とスモークがステージを盛り上げる。でもなぜか感傷的な気分になるのは、ユーミンや私の世代にとって青春が遠いものになりつつあるせいか? コンサート中盤には本コンサートのハイライトの一つであるアリーナ中央の舞台でUnplugged(ベースはエレキだが)のショーが展開され、その後はつなぎの曲を幾つか挟んで、お約束の埠頭を渡る風、最後は大名曲Destinyでお開きとなる。途中ユーミンはアリーナを数回駆け回るが、コンサートでの運動量はミック・ジャガーにも負けないのではなかろうか。それでも息切れしないのはさすが一流中の一流たるプロの証。昔と変らない体型、そして発散するオーラの凄さを保っているのにも本当に感心する。演奏曲目も最近のものから荒井由美時代のものまでカバーし、よく練られている。個人的にはやはり数十年前の昔の曲(8,11、22曲目など)が古さを感じさせずに聴けるのに大満足。中でも、中年男性にとっては「守ってあげたい」が聴けるだけで感激という人が多いのではないでしょうか。結論として、日本のポップスを開拓し、今も先頭ランナーであり続ける本作のユーミンから男性も元気をもらえること確実です。そのユーミンが内面を自分で語り、コンサートの舞台裏も見せてくれるDISC2(長すぎないのが嬉しい)も必見です。
Super Best Of Yumi Arai
初めて聴いた曲は「空と海の輝きに向けて 」です。
当時小学生だった自分は父のラジカセでFM放送を聴くのが楽しみだったのですが、ラジオから流れたその歌はほとんど歌謡曲しか聴いたことのなかった自分を、どこか遠い幻想的な世界に導くような曲と声でした。
それからもう少し大きくなってからベストアルバム「ユーミンブランド」を買い、一生懸命聴きまくりました。
初期ユーミンにはそんな麻薬のような魅力があったと思います。
是非このアルバムで荒井由実時代の名曲、そして当時の奇蹟のような声を堪能してみて下さい。
今聴いても輝きは色あせず変わりません。
レコード・コレクターズ増刊 日本のロック/ポップス 2012年 02月号 [雑誌]
レココレでは、以前日本のロック、ポップスに関する本として「日本のロック/フォーク・アルバム・ベスト100」を出していましたが入門者の方とか日本のロック等について俯瞰的に知りたい、ガイド本が欲しいとお思いの方ならそちらの方をお勧めします。こちらは、例のアーカイブシリーズで以前レココレで特集した記事をそのまま再掲載するシリーズです。ですので、取り上げられたアーティストは深く掘り下げらられていますが、これで「日本のロック/ポップス」全部がつかめるというものではありません。
ただ、取り上げられているアーティストを通じて日本のロック、ポップスに関してここまで深く踏み込んだものはあまり見当たらないので、非常にありがたい1冊だと思います。
欲を言えば、というか不思議なのは、GSの特集はここに載らないの?キャンディーズ特集も載せるべきだったのでは?さらに、URC特集については追加訂正のコーナーでもっと拡大してほしかったなあと3点ありますが、まあ、ここまでの本を今出せるのはレココレだけなのでその頑張りに免じて星5としました。
今のロック・ポップスを知るには欠かせない1冊だと思います。ここで取り上げられたアーティストが作品が無ければ日本のロック・ポップスは随分と違ったものになっていたことは間違いないでしょうね。
今後もレココレの特集、増刊期待しています。