生命保険数学の基礎―アクチュアリー数学入門
保険会社に勤務する傍ら、各地で保険数理の講師を長年にわたり務めてきたアクチュアリーによる講義レジュメの集大成。生保数理のテキストといえば、アクチュアリー試験の指定教科書にもなっている『生命保険数学』(二見隆著)が定番だが、二見本があくまで保険数理の解説に特化しているのに対し、本書は、生命保険契約の定義・分類や計算基数の歴史といった歴史的・実務的解説が充実している。生保数理のテキストとしても、二見本では序盤に位置している「多重脱退」を後に回して「連生保険」「就業不能」と一緒に学ばせるなどの配慮が為されているほか、キャッシュフローの図示や表・数値例を駆使するなど、指定教科書のとっつき難さを絶妙に補っている。生保の実務に疎いアクチュアリー受験生にとっては、今後は格好の入門書となること必至。惜しむらくは、試験対策書としては演習問題が少なすぎることか。著者が講座等で配布・実施している小テストぐらいは是非掲載して欲しかった。
年金基礎講座―これであなたも年金相談ができる!
年金というものは、本来もっと身近なものであるべきだが、制度が複雑で、
我々素人には、容易に理解できるものではない。
それは多くの社労士にとっても同じことのようで、「年金と聞いただけで
ゆううつになる」という社労士も少なくないという。
本書は、そうした年金相談業務が不得手な社労士のための参考書。
タイトルに「これであなたも年金相談ができる!」とあり、半信半疑で
読み始めてみたが、たしかに、この本があれば、よくある質問に対して
うろたえることなく対応できそうだ。
本の帯に「聞かれることは 実は10パターンしかない!」とあるように、
実務の現場でよく聞かれる内容を10テーマに分類し、ポイントを押さえて
説明されている。
年金の仕組みを基礎から体系立てて理解しようとすると途中で挫折しがち
だが、「よく聞かれる質問にどう答えるか」をメインとする実践的な内容
なので、飽きることなく読み進めることができた。
おそらく著者の実体験に基づくと思われる具体的なQ&Aをベースにしており、
相談を受ける場面をイメージしやすい。
回答の後に、質問を受けたときのポイントが示されている点も親切。
社労士ばかりでなく、従業員から相談を受けることのある企業の担当者に
とっても、手元においておきたい一冊である。
アクチュアリー数学入門 (アクチュアリー数学シリーズ 1)
月刊誌『数学セミナー』での連載等を基に構成された、アクチュアリー資格・試験のガイドブック。内容の大部分は一次試験の数学科目(数学・生保数理・年金数理・損保数理)の解説に割かれているが、冒頭および巻末では、アクチュアリーの業務全般や資格取得後の展望にまつわる解説や座談会記事が収録されている点がこれまでにない特徴。公認会計士・税理士・社会保険労務士などの資格紹介本ではさんざん使い古されてきた構成だが、ことアクチュアリーに関しては本書が初めてではないだろうか。
また一次試験の各科目の概論も、全般的には基礎的な内容の解説に終始しているものの、アクチュアリー会の指定教科書にはない実践的な公式(生保数理の一時払・分割払の公式)や新しい図解(年金数理の財政方式)を掲載するなど、単なる入門書の域を超えた意欲的な試みを随所で見せている。もちろん本書の内容だけでは本試験の全範囲に太刀打ち出来ないものの、練習問題もそこそこ充実しており、初学者だけでなく中級者以上にとっても有用な一冊。次回以降のシリーズに期待したい。
生命保険入門 新版
生命保険入門と言うより、生命保険学術書と言った方がふさわしい、幅広い知識、情報が得られる秀作です。
初版から5年振りの改定版、この間に著者はライフネット生命の社長に。環境の変化はあったけれど、生命保険をもっと知ってほしい、正しく理解してほしいとの生命保険に対する熱い思いと、業界寄りでない、公正な姿勢に全く変わりはない。
生命保険を熟知して経営の現場で活躍、そして業界の抱える課題に問題提起を行っている人が書いた本です。生命保険の知識と業界の現状、目指すべき方向等、総合的に学ぶことが出来ます。これから生命保険を学ぼうとする人、そして業界人、共に有益な一冊です。
業界を震撼させた不払い問題についても、発生状況とその原因について、きちっとした説明があります。
人生のリスクに対処する為に、生命保険は絶対必要。だからこそ、良い商品を提供し情報を公開し顔の見える業界に変革しなければとの著者の思いを全編を通して強く感じました。この著書が生保業界の革新に繋がることを熱望します。納得の2730円でした。