医学と仮説――原因と結果の科学を考える (岩波科学ライブラリー)
さまざまな医療や社会問題のなかで、疫学的手法により(科学的に)原因が明らかにされていても、まだミクロの世界の原因物質や反応のメカニズムの解明が不十分などといって受け入れられないことがある。その受け入れられてこなかった理由が、水俣病や公害問題など身近な問題をあげながら、哲学の見地から平易な言葉で解説されていて、とても読みやすい。
医学や保健学などの分野の初学者におすすめの良書。また、時間をかけずに疫学と科学哲学を再考できるので、これらの分野の研究者にもおすすめしたい。
乳がんと牛乳──がん細胞はなぜ消えたのか
2009年6月に乳がんの外科手術を受けました。友人や知り合いが、乳がんで亡くなっており、死の恐怖よりも先に壮絶な闘病生活への恐怖がありました。私は、どのようにこの病気と向き合うべきか。
この本は、あまりにもピンポイントなタイトルで、半信半疑ながらネットショッピングの手軽さで購入しましたが、読み進めていくうちに、大きな希望が見えました。私とジェインの食生活は良く似ており、科学的な論拠に基づく牛乳への危険性への論文は非常に納得のいくものでした。
実は驚いたことに、この本を読む前、つまりがん告知を受けたその日から何故だか私は乳製品の全てを断っていましたので、読んだあとも、確信を持って乳製品を一切絶ち、放射線治療の後、標準治療で勧められた強い薬を飲む再発防止の補助療法を断り、現在無治療状態です。この薬については飲んでも良かったのですが、主治医とのコミュニケーションがうまく行かず、そのまま断るという選択に至りました。QOLを著しく下げずに出来る治療はした方が良いと思います。
薬を飲んでいない私の徹底した乳製品断ちは、一つのエビデンスになるだろうと思っています。プラント女史の唱えるプラントプログラムが本当に有効であるかどうかは、やってみなければ証明出来ない。
もし、近い将来に私に再発が見られた場合、このレビュー欄に必ずご報告するつもりです。
金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本―中世・近世史 (東進ブックス―名人の授業)
東進ハイスクール、金谷 俊一郎先生の参考書で東進の実際の講義の要点をまとめたような本です。つまりこの本には、予備校の、金谷先生の日本史のノウハウがたくさん詰まった本です。図説が多く、また筋道(金谷先生はよく「因果関係」と言います。)を立てて説明してありますから、語句をただ丸暗記するよりも負担が少なく、ゴロ暗記よりもたのしいです。この本はむしろ中学生とかに読んでもらって、ほんとは歴史って楽しいと思ってくれればいいのですが…。要するにオススメです。