ダークシティ [Blu-ray]
一度発売延期になり、待ちきれずに北米盤を購入したものの、この価格で(今度こそ)発売されるとなれば、買わないわけにはいかない。ワーナー発売のニューライン・シネマ作品では、既に「セブン」が発売されているが、本作も「セブン」同様、北米盤と同仕様になるだろう。題名通りの“闇”が艶かしい高画質。音声も7.1chDTS−HDマスターオーディオという、究極仕様の「ダーク・シティ」だ。
何といってもこのブルーレイの目玉は、劇場版より更に11分長いディレクターズ・カット版が収録されている点。劇場版の冒頭にあったK・サザーランドのネタバレ的なモノローグがカットされたことで、導入部のミステリー色が濃くなったと同時に、主人公の「何が起こっているんだ?」という心理に観客がすんなり同調できるようになっている。最近ではハリウッド大作も手がけるA・プロヤスだが、彼の作品はいずれも、主人公が迷い悩む人間的な姿を確実に捉えており、本作でも、そんなプロヤス作品の美点が、ディレクターズ・カットによって、より際立つ結果となっている。
また、彼の作品に見られる文学的なセンス(例えば「クロウ 飛翔伝説」では、主人公がポーの「大鴉」の一節を口にしたりする)も本作では突出している。ミステリー、犯罪、SFというジャンル的な要素に加えて、主人公ジョンが目覚めるホテルの614号室が、ヨハネ(john)の福音書6章14節「まさにこの人こそ、世に来られる預言者である」を暗示しているとか(トリビア・トラックの解説による)、小説を1ページ1ページ読み味わうような愉しみが、この作品には詰まっている。
当然、映画としても、D・ウォルスキの映像やP・タトプロスの美術の素晴らしさは勿論のこと、クライマックスからラストまでの15分間を一気に聴かせきるT・ジョーンズの音楽も特筆もの。画よし、音よし、話よし。ブルーレイで何度も観るのにふさわしい作品だ。
Creepers [VHS] [Import]
あまりにも美しいジェニファー・コネリーが昆虫と心が通じるというホラー・ファンにはたまらない設定。アルジェント本人が言うとおり、クライマックスはショックシーンが連打され「しつこい」映画になっています。アルジェントのいじめに近い演出にジェニファーは見事に答えています。蠅の赤ちゃん・・・・。
ビューティフル・マインド [Blu-ray]
”米国映画に新風、それがロン・ハワード・タッチ”。自分が最初にみた1985年の彼の作品「コクーン」のパンフレットにそんなことがかいてありました。人間に対するつねに暖かい視線と、独特の美しい映像センス。80〜90年代、ハワードは仲間のルーカス、あるいはスピルバーグに勝るとも劣らない映画製作者として、じっくりと実力をたくわえていったとおもいます。その後時空を経て、映画人ハワードの世界が円熟し、結晶化されたのがこの傑作とおもいます。2001年のアカデミー賞作品賞。。。
ひとりの天才的な学生が、精神分裂病による幻覚に悩まされつつも、学者・研究者となる。苦しみ、もがきながらも、妻の献身的な愛情、いや、人間としての友情に支えられながらこれを克服しつつ、大成してゆく姿。この夫婦を静かに描く、人間への信頼のものがたり。
この映画でとくに胸を打たれるのは、終盤、実在したこの夫婦についに祝福のときがくるシーン。そしてもうひとつ、ラスト近くの静かなる名場面。。。半生の思い出にみたされた母校のカフェに数十年ぶりに座る主人公。その彼のもとにおこる、観る者の心を静かにゆさぶるような、すばらしく美しいできごとを、ぜひ、ご覧いただきたいとおもいます。。。みたあとのヒトのこころを温かい身持ちで満たしてくれるような、秀逸なヒューマンドラマ。映画ファンならぜひ一度は見ておきたい、ハワード監督の、いやアメリカ映画の残した秀作のひとつとおもいます。
9<ナイン>~9番目の奇妙な人形~ コレクターズ・エディション [Blu-ray]
新人監督シェーン・アッカーの11分の短編アニメに触発されたティム・バートンにより製作された長編アニメーション。
短編をネタに長編を作った場合、ストーリーが凡調気味になってシラケてしまう作品がありますが、本作は初めから終わりまで見事な演出で観る者を引きつけます。
劇場は地域限定で期間も短かったので行けませんでしたが、ソフトを観て「ああ…行けば良かった!」と少々後悔しました。
映像は大画面で観たくなるような迫力と緻密さがあり、まさに画面に釘付けです。
機械と人間の戦い!なんていうと古くは「キャシャーン」から「ターミネータ」まで、使い古された設定のように感じますが、「奇妙な人形」達の登場は斬新であり、どうなっていくのか???と画面から目が離せません。
SFであり、ファンタジーであり、考えさせられるアニメでした。
ダークな表現があるのでお子様向けではありません。
多くの人へお奨めしたい傑作です。