ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)
下巻では,キーストーンの暗号を解き,ルーブル美術館の館長が残したメッセージの内容がいよいよ明らかになります.そして,あまり登場人物が多くないにもかかわらず混沌としていた人間関係がすっきりとしてきます.
ストーリーとしては,それほど凝ったミステリーではないと思いますが,ダヴィンチの作品の解説やキリスト教の聖杯伝説の話をうまく織り交ぜて展開しているところが魅力です.各巻の巻頭にダヴィンチの作品やストーリーに関係する教会の写真が掲載されていますので,それらを眺めながら読むと楽しめます.最後はホッとする結末で,これまでのハラハラドキドキの展開をスッと落ち着かせてくれます.さて,映画はどのような作りになるのでしょうか.
気球工学―成層圏および惑星大気に浮かぶ科学気球の技術 (宇宙工学シリーズ)
科学目的のため成層圏まで昇る超大型の気球の話は、新聞等で時々断片的に聞
いたことはあり、興味を持っていました。著者も前書きで言うように、この本
は、その全貌を述べた本邦初のもので、大変貴重といえる。
内容は、「1章序論」/気球の歴史/気球の概要/科学気球の特徴、「2章気
球の工学的基礎」/浮力の原理と飛翔高度/気球の方式/気球の運動、「3章成層圏気球」/地球の大気/気球のシステム構成/地上設備/気球の製作/高層気象観測用ゴム気球/気球の利用、「4章惑星気球」/惑星大気/惑星気球の背景/事例/惑星気球による科学観測、5章気球の将来
気球工学全般が、その歴史から現在の技術的到達点まで体系的に述べられている。難しい数式が多い気球の運動などの理解には専門的知識が必要だが、そこを読み飛ばしても、この大規模な気球の世界を十二分に堪能できる。惑星に気球を送る話など、将来の展望も示され、古臭いと思われる気球にこんな新しい世界が!?と驚かされる。バリバリのエンジニアから、宇宙に興味のある人まで幅広く楽しめる一冊であり、日本が世界に誇る気球工学博士矢島(共著ではありますが)を通して気球の宇宙観を実感できる秀逸な本だと言える。少しでも気球、宇宙に興味があったら必読の一冊です。はっきり言ってお勧めですよ。
よつばと! 9 (電撃コミックス)
あずまきよひこ「よつばと!」9巻。今年は過去作の新装版諸々の作業があったため、刊行は遅くなったが
不思議とそこまで待った感じがしないのがこの作品らしい。常にそばにあるというか。
今回もいつもと同様の出来の良さ、シュールさを感じさせるギャグも多数、
何より普段の生活に根ざした形でここまで微笑ましいギャグがポンポン出てくるのが素晴らしいというか、心地よい。
本当に些細なことの積み重ねなんだけど、それを見守るのがやたら楽しく、世界観に思いっきり浸れる。
特にこの9巻ではよつばの子供らしさというか、子供の時に経験すべき・またはしたかったような出来事が多く描かれており、
それは一種の理想だとも思うんですが、
それでもこの時期にこういう経験してれば感情豊かになっていくよな〜という、
大げさに言えば一つの教育を垣間見てる気分になるというか。ついつい親目線で読んでしまう話が多かった気がする。
これはこの漫画だけの特権だと思う。
と言う訳で今回も抜群の安定感、きっと何の心配もなしに読める一冊かと思います。
無数の気球が飛び立つシーンは、作画の丁寧さも手伝ってとても見事だった。