アトランティスのこころ (下)
キングの作品の中でも群を抜く傑作。こんなにも何気なく、こんなにも冷酷で、こんなにも暖かいお話を書けたのか、と彼を見直すこと間違いなしの一作である。構造だけを見ればスタンドバイミーの焼き直しのようだが、その中にはキングが絶望の先に見つけた悟りとも言えそうな何かが煌めいている。あるいは群を抜くという言い方は間違っているかもしれない。この作品はキングの"heart"そのものだから。
アトランティスのこころ 特別版 [DVD]
大人のガーフィルド(ボビー)は、送られてきたグローブを手にして昔へとタイムトラベルするのです。
11才のボビー少年は近所のキャロルと大の仲良しです。(2人とも可愛い!)・・
バックに流れる懐かしい音楽と冒険心あふれた映像は
スタンド・バイ・ミー と共通性があってナカナカいいものですね。
ある日、テッドと言う初老がやって来て、2階にいそうろうするうち、
だんだんと馴染んできて友情が芽生えてきます。
しかもボビーは予知知能力バッチリの不思議体験をするんです。
テッドは普通の人じゃなくてサイキックパワーの持ち主らしいですね。
しかもある大物たちに追われているんだとか・・
母親は賢明に生きますけど、ビー玉(モラルのないオヤジ)さんにだまされて可愛そうですよ。
だからこそテッドとの葛藤は凄かったですな。・・
テッドが連れ去られるのを見送る場面は、胸キュンでした。
ボビー少年とテッドの友情に満ちた話はこころが暖まりますよね。
ミステリーな展開と芸術性に富んだ傑作品と言えるのではないでしょうか。
アトランティスのこころ (上)
素晴らしい本だと思う。アメリカにとってのベトナム戦争とは何だったのか、
それに巻き込まれたある世代の怒り、悲しみ、そして虚無感というものを五つの時代(年代?)を通して描ききっている。キングの凄い所はそれをエッセイに終わらせるのでなく、フィクションを混ぜる事で逆にリアルに自分の"失われた"世代を描いている点にあると思う。70年代がにおって来る様である。
これは今までのキングのフィクションとは違った、"ベトナム文学"と呼べる物ではないだろうか?
ベトナム戦争の傷痕を戦場ではなく人々の日常を通して描いた傑作である。
アトランティスのこころ 特別版 [DVD]
原作は短編だそうて、鉄のカーテン時代の日本よりは恵まれたモンタナの未亡人の母と少年時代。中年は何となく同時代がオーバーラップして共感しそう。
かの国であの時代は若干オカルトがかっていて、叙事的な方の「事件」は引っ越してきた特殊な老人と政府の緊張関係として展開する。巷間の人間にはやや無縁な趣はある。
一方、叙情の方はあっさりと滅んでしまった大陸のタイトルと同様に短い子供時代のノスタルジックな友人・異性の出来事である。一寸主人公もハイアーなその道に入りかけたりする。
永遠に続くかと思われた少年時代を生きた覚えがある中年には特に、最後の章で殊にほろ苦い味わいが残るかもしれない、原作者の作風通りの一味違う掌篇。
アトランティスのこころ 特別版 [DVD]
この作品は不思議な男との出会いから始まった、ひとりの少年のこころの成長の物語なのですが、私はこの映画を見て時は止まらずに流れ続け過ぎ去った日々は思い出として深く心に残るということを教えられました。それは同時に過去には2度と戻ることができないということでもあります。だからこそ今と言う時間を精一杯生きて悔いのない人生を送りたいと感じました。私の人生観を変えた映画でした。皆さんにもぜひ見てほしい。