夢がたり
不意にテレビから流れてきた、あのイントロ。
驚いて顔をあげると、目に飛び込んできたシルクロードの風景。
久保田早紀の「異邦人」をバックに、シルクロードの世界を見られるなんて、
夢じゃなかろうか。
というか夢が現実になった。
ほんの十数秒の夢。
新しいCMだ。
20年以上たって、こんなCMを見ることができようとは。感涙だ。
きっと私と同世代のディレクター、プロデューサー?よくわからないけど、
CMを作る人が、同じような夢を持っていたに違いない。
それほどに久保田早紀の「異邦人」は完璧だ。
このアルバムもまとまったひとつの世界を作り上げている。
まるで自分もシルクロードの世界の中にいて、
どこかの店で久保田早紀の弾き語りを聞いているよう。
久しぶ!りに全曲まとめて聞きたくなった。
変身 (新潮文庫)
カフカは、この作品が出版される際に、「表紙に毒虫の絵は描かないでくれ」と注文したという。
「毒虫」は、あくまで「疎外される者」の象徴である。
いつの時代、どの場所にも「毒虫」はいる。
社会的に疎外される者と、彼らを身内に抱える家族。
「家族だから」と庇護する気持ちと「邪魔だ」と疎んじる気持ちは、矛盾しているように見えるけど、きっとどちらも本心なのだろうと思う。
最後、グレーゴルがいなくなった後、リセットされたかのように晴れ晴れとした気持ちで、娘の将来に期待をよせるザムザ一家。
その未来には、「毒虫」の存在は欠片も残っていない。
この話は説明はなく、オチもない。
しかしだからこそ、その丸投げっぷりと残酷さは、ひどく現実的に思えてならない。
ペスト (新潮文庫)
アルジェリアの小さな町を突如襲ったペストの流行についての記録というスタイルで書かれた小説。
ネズミの大量死という不吉な兆候に続いて患者が発生する。医師たちはその症状が既に撲滅されたはずの感染症であることに気づきながら、なかなか「ペスト」という言葉を発することができない。多くの患者が発生しているにも関わらず、公的な発表は相変わらず楽観的なまま。そして突然、「ペスト」が宣言されて町は封鎖される。電話の使用も制限された町で、外界との唯一の通信手段は電報となる。限られた文字数で何を伝えるのか。ついには、新しい言葉もなくなってしまう。
「毎日の仕事の中にこそ、確実なものがある」と信じる医師リウーは、自分の力の限りを尽くして患者を治療し、ペストと戦う。その戦いが際限なく続く敗北(=患者の死)であったとしても、「それだからといって、戦いをやめる理由にはなりません」と。
自分の愛するもののために生き、かつ死ぬことに心ひかれると語る新聞記者ベルナールに、「人間は観念じゃない」とリウーは返し、ヒロイズムなどという観念ではなく、誠実に自分の職務を果たすことが重要だと語る。
「彼(=リウー)がかちえたところは、ただ、ペストを知ったこと、そしてそれを思い出すということ(中略)。ペストと生とのかけにおいて、およそ人間がかちうることのできたものは、それは知識と記憶であった。」(p.431)
ペストはただ単に疫病をさすのではなく、天災やファシズムのメタファーでもある。そして、次の言葉を読むと、本書が国境を越え、時代を越えて共有される真実を語っていることが痛いまでに理解される。
「彼らに欠けているのは、つまり想像力です。彼らは決して災害の大きさに尺度を合わせることができない。で、彼らの考える救済策といえば、やっと頭痛風邪に間に合うかどうかというようなものです。」(p.181)
今だからこそ、読まれるべき名著だと思う。
Kafka Sur Le Rivage
仏語圏で最も読まれている村上春樹の著作。
この本は、仏語で読んでも日本語版の雰囲気を残しながら上手く仏語に翻訳されている。例えば、森鴎外の「舞姫」のような作品を仏語に翻訳したら、原文の美しさが損なわれてしまうと思うが、この本を読んでいる最中、違和感がほとんど感じられなかった。翻訳者の力に拠るところもあるとは思うが、外国語に訳されても、その世界観が失われないように村上春樹が意識していたのではないかと思う。(彼は、以前なにかの本で、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」のような本を書きたい、との旨を述べていたが、その実験作が海辺のカフカなのではないだろうか。)
この本を読んだことがある人ならばご存知かと思うが、作中、とにかく西洋の文学のネタがちりばめられている。オイディプス王、ハムレット、ドストエフスキーetc。そのせいか、この本の作家が日本人であることを忘れてしまうほどである。
私は、春樹の作品では「ノルウェイの森」と「風の歌を聴け」が好きなのだが、
仏語で「海辺のカフカ」を読んでみて、この作品が好きになった。日本語で読むよりも、むしろ英語や仏語で読んだほうが魅力の伝わってくる作品なのかもしれない。
村上春樹の作品は、平易な日本語で書かれているため、この訳書もそれを踏襲しており、非常に読み易い。レベル的には、カミュの「異邦人」を読めるレベルがあれば、問題ないかと思う。お勧めの作品。
蛇足:日本で人気のある「ノルウェイの森」、「風の歌を聴け」、
「ダンスダンスダンス」といった初期作は、仏語圏では、あまり人気がない。本屋に行っても置いていないくらいなので。日本の学生生活や恋愛観に対して知識がないため、共感を得ることができないためでしょう。
バトラーズ~鈴蘭屋敷の異邦人~Vol.2 クリス編
ゲームもシリアスものを好んで選ぶのですが…
シナリオにため息、EDで涙というのが好きでしたが
そういう系は精神的にも肉体的にも余裕がないと
100%楽しめない気がして…
(仕事で疲弊しておりました)
なにも考えず、シチュを楽しむ!と意気込んでバトラーズをプレイ。
やっぱり執事・お嬢様設定というのは王道!
たのしくご主人様生活を送ることができました。
わたしはクリスが好きだったので、こちらを購入。
PC開いてなくても、ipodでバトラーズキャラに会えます(笑)
あの、なんだか楽しげなやりとりが微笑ましい。
聴いててテンション揚がるんで、買って正解でした☆
ゲームをプレイしていなくても萌えられます!
他キャラのものも集めようと思っています。
とてもおススメな一枚。
けっこう、ドキドキなシーンもアリなので^w^