日本書紀〈3〉 (岩波文庫)
雄略・清寧・顕宗・仁賢・武烈・継体・安閑・宣化・欽明、と言った、個性のある天皇をあつかった刊です。極論を言ってしまえば、この一冊に日本書紀の面白さが集まっていて、日本書紀を読むなら、最初にこの本に限るという事です。そして、この刊にこそは、邪馬台国の謎に匹敵する天皇家成立の謎を解明するヒントがちりばめられていて、非常に興味深く、あたかも上質な推理小説を読んでいるようである。文庫本に関わらず、克明なルビと詳細な補注は、理解するのに時間がかかるが、その謎解きに役立って有益であるといえる。しかし、最後の欽明天皇期は長く、難解で現代語訳と突き合わせながら、じっくり読まれる事をおすすめしたい。
絶対内定2012 面接の質問
絶対内定シリーズと呼ばれる就職活動の教本。
面接で聞かれる可能性が高い質問を53個集めたもので
それぞれの質問において、面接官の意図や
どういうポイントを押さえて答えるべきかが簡潔にまとめられている。
仕事の関係で新卒学生への模擬面接をたくさん行った身としては
「面接官が何を聞きたいのか」「どういう部分をアピールすべきか」が
非常に的を射た形で説明されているので納得できる。
ただ、答え方の例がほとんど挙げられてないため、
ポイントから自分なりのセリフを作り出せる力がある学生でないと、
そういうポイントを押さえた回答がどんなものかわからないままだろう。
それぞれの質問に対して、いい例と悪い例を
もっと多くのパターンで紹介して欲しかった。
面接が苦手な学生ほどそういった具体例がある方が
正しい方向性をイメージしやすいだろう。
不満点としてはページのレイアウトが簡素で色分けや枠組みがされていないため、
サイズがバラバラの文章がただ並んでいるのは読みづらい。
また、各質問の左下にあるアドバイスで
学生が陥りやすいミスを警告しているのはいいのだが、
たまに「きみの気持ちはきっと伝わる。きみの気持ちが本物であれば。」のような
漠然とした感情論になっているようなものは参考にならない。
文章中に「コア」「我究」という言葉が唐突に出てくるが
それに対する定義の説明がないため、
これがどういった内容を指すのかがわからない。
他の絶対内定シリーズの本で定義しているのかもしれないが、
書籍単体ということで考えると、「意味がわかっている言葉」という前提で
話が進められているのは不便だ。
日本書紀〈1〉 (岩波文庫)
古事記の起源神話は道教の影響が大きく日本書紀(特に第五の一書)は最古形に近い形の日本起源神話が乗る。古事記は朝廷正史ではなくそれが残ったのは日本史上最大の神道家といわれる本居宣長の功績による所が多い。彼の古事記伝の副産物として様々な古典文学に至る解釈が生まれる。様々な口承氏族神話を儒教、仏教、道教の経典文字として伝来した文字をそれらの思想の影響を受けながら成立したものである。中国の属国状態から聖徳太子から初めて中国の皇帝に対抗して対等の天皇号を名乗り中国、朝鮮半島の統一という時代の危機に氏姓制度から律令王朝制度へ移行を成し遂げた中国冊封体制からの独立宣言的書物である。日本の皇祖達のご苦心が忍ばれる。
情熱大陸~葉加瀬太郎 SELECTION~
バイオリンの曲はほとんど聴かないが、この番組のテーマは好きだった。一度全部キチンと聞いてみるかと思い、思い切って買ったのだが、買ってよかったと思う。1週間ほどこればかり飽きずに聞いた。
テレビ番組関連のCDなので購入前は曲の構成がどうなのかと気になったが、今までに「情熱大陸」に出たミュージシャンの曲と葉加瀬の曲とをうまく組み合わせている。CDの曲構成に乗り、違和感なく、久しぶりに坂本龍一の"NEO GEO"も聞いていることに気がついた。
インストロメンタルを聞きたいが、クラッシックではなくポップな感じの曲を聴きたいと思う人には強くお勧めする。最近買ったCDでは出色の出来だ。