ポリス・ザ・シングルス~見つめていたい[+2]
シンプルにすることを突き詰めることがポリスの素晴らしいところだと思います。「キャント・スタンド・ルージング・ユー」などけちのつけようがありません。
彼らの現役時代は知りません。しかし今も、この作品を聞きながら書いていますが、これは凄いバンドがいたのだなと素直に脱帽です。
ブルー・サンダー
1996年リリース。帯タタキ引用:「ブルースをルーツに、ロック史の一翼を担った男たちの更なる旋風を巻き起こすニュー・プロジェクト”ブルーサンダー”衝撃のデビュー作!!」・・・って、衝撃的でもなんでもなかったですよ(笑)。私的にいつか買おうかなと思っていたうちに姿をみかけなくなり、そのうち忘却の彼方に葬り去っていたアルバム・・・たまたま今回偶然入手し、リリースから十数年後初めて聴きました。基本的には初期のホワイトスネイクな感じで、そのままデヴィッドカヴァディールが歌っても違和感のないものです・・・そりゃそうですよ、ギターがこの人なら(笑)。メンバーは、ポールウィリアムス(Vo)・デヴィッドヘンツェル(Key)・ゲイリーハズバンド(Dr)・ミッキームーディ(G)・ピートストラウド(B)・・・デヴィットヘンツェルは後期?GENESISに絡んでいた人、ピートストラウドはいまだ聴いた事ないレアなヴィジター2035の人だそう!ゲイリーハズバンドがやっつけ仕事ではなく(笑)きちんと叩いているので、楽曲が引き締まっています・・・それゆえプロジェクトというよりは、バンドとしてのまとまりが感じられる仕上がりで好印象でした!一応売りは(笑)、1&3土屋公平・5ミックテイラー・6アンディサマーズといったギタリストがソロイストとして参加している事・・・土屋氏はなかなか堂々たるプレイで、正直驚きました(あちらでもリリースされたらしいので、ちょい世界進出!)。ミックテイラーはまんまですが(笑)、アンディサマーズのハードロック(ブルーズ)なギターは珍しいかも知れないですね。なんといっても曲は、1曲目「Running Blue」・・・この曲だけは他曲と違い、絶妙な緊張感を持つJAZZROCK的なカッコいいナンバー。裏で鳴るベースの響きがアクセントになり、切り込んでくる土屋氏のギターがとってもカッコいいです・・・クレジットみて土屋氏とわかった時は、本当驚きました!元々このプロジェクトは、ポールウィリアムスが日本で(ホールズワース人気に便乗、笑)ライブを行うプランからスタートしたそう・・・日本人ギタリストAZUMI(誰?)という人が、関わっていたようです。日本盤リリースは日本クラウンからなので、かなり売れた枚数は少なかったと思います・・・演歌の印象あるからねえ(笑)。名前を見て興味を持たれた方は、気長に探してみてくださいね(笑)・・・期待し過ぎると、やばいです。
Message in a Box
「まいったなあ。今までのポリスのアルバム、どうしよう。」
あなたがポリスのアルバムを一枚でも持っているファンなら絶対に思う筈です。なんせコンプリートですから。
何はともあれ、本当に「文句なし」です。こんな曲からあんな曲まで、ポリスのすべてが網羅されています。しかし!初めてポリスを聞く人や、有名な曲しか知らない、なんて場合、ちょっと飽きてしまうかも。とにかく、「ポリスてんこもり」なのです。
アンディ・サマーズ自伝 ポリス全調書
正直言って、あまりお薦めできる作品ではないです。
私は当然ポリスのめちゃファンですが、それを差し置いても、です。
アンディのポリス加入からポリス解散までのエピソードは興味深いのですが、それ以前のモノローグ調の、ポリス以前のキャリアについて書いている部分は正直退屈でした。
自身のドラッグ体験や禅、仏法などへのある種の傾倒についてちょっとページを割き過ぎかなと・・。
読む人の9割の興味はポリス参加以降のエピソードだと思いますが、まあアンディの自伝ですからその辺りは分かった上で読むべきでしょう。
Fundamental
アンディ・サマーズの約10年ぶりのオリジナルアルバムが、ブラジルの女性ボーカリストとのコラボレーションであるとニュースが流れた時、アンディのファンとしては驚き、そして期待しました。
『XYZ』以来のボーカル曲をアンディが書いたのですから、これはニュースです。
作詞・作曲・ギター・プロデュースをアンディが担当し、前半5曲のポルトガル語訳をブラジルチームが担当、歌はフェルナンダ・タカイさんという構成です。
しかしそんな説明は必要ない、とにかく聴いて欲しい1枚です。
一聴すると雰囲気のあるボサノバアルバムですが、これは私の勝手な思い込みかもしれませんが、ギターリスト Andy Summersの70年が詰まった1枚に思えてなりません。
彼が爪弾くバッキングはやはり心地いい…ボーカル+ギターがやはり彼の基本であるのだと思わせてくれます。
そしてギターソロもガッツリ弾きまくってくれるのがこのアルバムのイイところです。
心地いい不協和音やウネウネとした音かと思いきや、ロック、そして美しいアコースティックのメロディ…しかしベースはボサノバの優しく緩やかな音。
決して出過ぎず引き(弾き)すぎないバランスが巧みです。
隙間があるくらいがちょうどイイ…POLICEの雰囲気も感じたりしました。
そして、耳元で歌われているようなボーカルも必聴!
儚げで時に悲しげでありながら凛とした強さのある優しいボーカルに、誰もがきっと癒されることでしょう。
そう、このアルバムはAndy SummersがFernanda Takaiの声に惹かれ、その声によって創作意欲を駆り立てられた…そういう1枚であると気が付くのです。
最上のコラボレーションと言っていいと思います。
フェルナンダさんのファンがこのコラボレーションをどう思っているのか…とっても気になるところです。
このレビューを書いている9月9日現在では、CDとしての発売はまだ日本版のみです。
日本版の美しいジャケットを眺め、全曲対訳付のライナーを読み、ゆっくりと音を堪能…
秋の夜長にぴったりの1枚だと思います。