宵の住職ごろちゃんのお気に入り研究所

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Lucky Man: A Memoir  30代後半のある年のある日、東京の書店で買い物をして、クレジットカードの支払伝票にサインしようとペンを持った時だった。突然、私の右手はぶるぶると震えだし、自由を失った。病院できちんと診察を受けようと思い立ったのは、それからほぼ1年後だ。下された診断は若年発症の「パーキンソン病」。この問題と事実を受け入れ、実家の家族に明かすには、さらに7年間という時間が必要だった。

「ラッキーマン」に記されたマイケルの苦悩や現実としての病気との闘いは、私にとって他人事ではありません。視床破壊術と呼ばれる定位脳外科手術まで受けている彼に比べれば、幸いにして、私の病気の進行はずっと遅く、軽いものだけれど、同じ若年発症患者として強い共感を覚えつつ、一気に邦訳414ページを読了しました。

 誰もいつどんな病気や障害に出会うか分からない。今はそうでなくとも人間はいつか老いて、多かれ少なかれ、否応なく不自由を強いられるものです。どんなことになっても命ある限り、生きていかなければならない。でも、生きているのは、生きていかなければならないのは、自分独りきりではないのです。家族がいる。仲間がいる。それだけでも何と人間はラッキーな生き物なんだろう。私も周囲の理解と協力に恵まれ、さらにはマイケル・J・フォックスという同士(お互い知り合っているわけではないけど)を得て、病気と闘うラッキーマンの一人として生きています。
 月並みながら……一人でも多くの人に読んでもらいたい一冊です。


ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)  暴君だったから殺されたのではなく、統治者として不適格であるから殺されたネロの物語。
 母アグリッピーナの野望によって帝位に就いたネロ。元老院も市民も、ネロの登場を歓迎する。先帝の嫡子を殺し、母を殺しても、ローマ市民は黙認した。統治がうまくいっていた間は。だが、統治に不適格であると思われたとき、レス・プブリカの為にこのギリシアかぶれの繊細な若者は殺されたのである。
 アウグストゥスが作り上げたローマ皇帝とは、ローマの住人の父であり、パトローネスであり、レス・プブリカの体現者であった。これほど労多くして実の少ない役もないと苦笑してしまう。帝国は実務を行う人々によって盤石であったにもかかわらず、不適格者の統治は許されなかったのだ。共同体意識の強い場合に良く見られる、すべての責任を一人に押しつける事で得られる安心感が、得られなかったために殺されたとも言える。血は、言い訳でしかなかった。
 それにしてもこの母子を見ると、男は自分のちっぽけなレス・プブリカのためにも女を愛する方がよさそうだと、愚にも付かないことを思ったりする。この帝政の始まりがカエサルであったら、どんなローマになっていただろうか。
 

恋・愛・都・市 恋がしたい DVD-BOX1 今世界でも一番活気ある国、中国。女性のここの中も既に他の先進国へ追いつけ追い越せなんですね。現代の中国人の思いに触れたい、感じたい人にお勧めです!
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