でらしね [DVD]
この映画、もともと2002年の作品なんですが、おクラなっていて、昨年末にやっと公開となり、そしてまたやっとDVD化。
はっきりいって、前半は風変わりなホームレス画家に興味は湧くものの、少々退屈。黒沢あすか演じる女画商の手中に落ちる中盤以降、画商を演じる黒沢あすかの存在が奥田の強い個性と対等に渡り合い始め、画題を求めて二人は山奥に篭り、モデルと画家として不思議な共生関係を築くあたりで、俄然面白くなる。都会と南アルプスの自然との対比、森の中での鳥の声、虫の鳴き声も印象的に聞こえてきた。黒沢のヌードもふんだんに画面を飾る。そういえば、この映画、R-18はおろかPGも含め映倫規制なしなんだよね。芸術映画として認められたということかな。
奥田自ら描き下ろした大小50枚に上る絵画がスクリーンを席巻してゆくころになると、物語と演技と絵に圧倒される。「ポロック」でエド・ハリスがドリップ・ペインティングを披露したけど、それを上まわる鬼気迫る迫力。しかも、その絵の成否が映画の成否を握っている。それをあえて引き受け、奥田の才能を信じた監督、それに応えた奥田に敬意を表したいです。
「絵にはさ、多分絵には完成なんてないんだ。どこで終わらせるのか、それを決める作家の意思だけ」というセリフが沁みる。そしてラスト、個展を見に来たホームレスの仲間が、絵を見て言うひとことが、素晴らしい。映画自体がこのひとことのために存在するかのよう。さすが、中原俊監督、その演出の見事さ!!
オールド・タイム
谷村新司の16枚目のオリジナル・アルバムです。
発表は1986年12月で、2005年にデジタルリマスターされたものを、更にSHM-CD化したものです。
1986年、この頃は、まだLPとCDが併売されていて、その特性上(収録容量など)、両者間では曲数と曲順に違いがあります。
再びダンディズム路線に戻ったように思えますが、このアルバムでは「男の哀愁」を唄い上げています。
詞の世界観のみならず、サウンド面でも随分イメージが変わりました。
これまでも、作曲家に依頼した曲を唄ったことはありましたが、せいぜいアルバム1枚あたり1〜2曲でした。
しかし、このアルバムでは全11曲中9曲が依頼楽曲(詞は全曲チンペイさん)です。
イメージが変わって当然ですね。
アレンジを馬飼野康二さんが9曲を担当していることも見逃せないところですね。
『再来』『幸福』
の2曲のみ、詞曲ともチンペイさんで、アレンジが服部克久さんといういつもの形です。
当時、「チンペイさんも作曲に関してはスランプなのか」と思ったりもしましたが、それはリフレッシュでありながら、新たな挑戦でもあったようです。
実は、アリス時代にもそういう時期がありました。
その時とは事情や背景が違いますが、共通の結果としては、そのあとに大きく飛躍している、というところです。
シンガー・ソングライターとしては避難される行動ととられがちですが、しっかりと次を見据えているところが凄いところだと思います。
追記
冒頭に記しておりますように、2009年リリースの「SHM-CD」に対してのレビューを投稿致しましたが、何故か自動的に2005年リリースの「デジタル・リマスター版」にも載ってしまっています。
2005年版は「SHM-CD」ではありませんのでお間違えの無いようにお願い致します。
男のダンディズム (男のVシリーズ)
若い頃、奥田瑛二に憧れていた。
ああいうだらしない男が格好よく見えた。
本書は役者本としては、出色の出来ではないか。
奥田瑛二は役柄と本人の内面が通じ合う数少ない役者である。その背景を奥田が自らを語っているのだが、本書の肝は「だらしなく頼りない男」になるために彼は生きてきたという下りだ。
それは奥田にとって理想の生き方だという。
役者としても人間としても彼はマッチョやスタイリッシュな生き方を否定して、自然体をよしとしてきた。その自然体が「だらしなく頼りない男」というはちょっと・・・ではあるが(笑)。
「だらしなく頼りない男」の作法がきちんと生真面目に書かれており、巷の「俺本」とは明確に異なる。繊細なのだ。
ともかく女性にもてまくり、仕事にも没入した奥田瑛二の半生を読むことが出来る。
その語り口は奥田節というか、熱いのか醒めているかわからない、独特のリズム。役者としての矜持も感じられ、一読の価値有り。
かっこいい。
オールド・タイム
谷村新司の16枚目のオリジナル・アルバムです。
発表は1986年12月で、2005年にデジタルリマスターされたものを、更にSHM-CD化したものです。
1986年、この頃は、まだLPとCDが併売されていて、その特性上(収録容量など)、両者間では曲数と曲順に違いがあります。
再びダンディズム路線に戻ったように思えますが、このアルバムでは「男の哀愁」を唄い上げています。
詞の世界観のみならず、サウンド面でも随分イメージが変わりました。
これまでも、作曲家に依頼した曲を唄ったことはありましたが、せいぜいアルバム1枚あたり1〜2曲でした。
しかし、このアルバムでは全11曲中9曲が依頼楽曲(詞は全曲チンペイさん)です。
イメージが変わって当然ですね。
アレンジを馬飼野康二さんが9曲を担当していることも見逃せないところですね。
『再来』『幸福』
の2曲のみ、詞曲ともチンペイさんで、アレンジが服部克久さんといういつもの形です。
当時、「チンペイさんも作曲に関してはスランプなのか」と思ったりもしましたが、それはリフレッシュでありながら、新たな挑戦でもあったようです。
実は、アリス時代にもそういう時期がありました。
その時とは事情や背景が違いますが、共通の結果としては、そのあとに大きく飛躍している、というところです。
シンガー・ソングライターとしては避難される行動ととられがちですが、しっかりと次を見据えているところが凄いところだと思います。
追記
冒頭に記しておりますように、2009年リリースの「SHM-CD」に対してのレビューを投稿致しましたが、何故か自動的に2005年リリースの「デジタル・リマスター版」にも載ってしまっています。
2005年版は「SHM-CD」ではありませんのでお間違えの無いようにお願い致します。
皆月 ニューマスター・プレミアム・エディション [DVD]
北村一輝は、作品ごとに「同じ人か」とおもうほど、顔つきや口調が違う。
この作品では、暴力、レイプ、殺人と、悪の限りを尽くしながら、なぜか
悪人、と思えない不思議な魅力を出している。
たまに見せるやさしさや、寂しさが見ている者の心に突き刺さる。
アキラは、北村一輝にしか演じることができないキャラクターだと思う。