彗星夜襲隊―特攻拒否の異色集団 (光人社NF文庫)
安易に自殺特攻になびかず、使えるものを合理的に使って兵力の維持向上を図って正攻法の攻撃に挑んだ内容に感心させられた。
搭乗員の養成と、機材の整備を合理的に行った内容は、当時の過度な精神主義を考えると現代においても考えさせられるところが多い。
また、搭乗員の損耗をできるだけ最小限にとどめる努力は、巷に流れる当時の特攻主義を考えると特異である。
このような合理精神があれば、当時の戦争はもっと違ったものになっていたのではないかと考えさせらえてしまう。
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CGの飛行機映画って、ややもすると荒唐無稽なデジタルアニメになり勝ちだが、これはリアル。
あまりオーバーなカメラワークは抑え、リアルな視点で描いてある。CG以外でも、剥き出しのエンジンのカムシャフトがガシャガシャ動く様子などハッキリ写してて、リアル嗜好なのは好感が持てる。
しかし、この映画、
・空中戦はそれほど多くないから戦争アクションでもないし、
・キャラ描写も抑え目で、心理的葛藤はそれほど強く描かれてないから人間ドラマでもないし、
・反戦ものとしても中途半端
・とってつけたような恋愛エピソードなので、恋愛ものでもない
自分にはどうもいまいちだった。全体的に強烈なエピソードも無く淡々と進行し、肝心な部分は観客の想像力に訴えかけるような構成でサラっと流してる(ラストが一番サラっと流してます。)のが、強烈ドラマを期待してたせいか、物足りなかった。
英雄リヒトホーフェンを普通の若者として描こうとするあまり、全体が戦争中の普通の日常描写になってしまった感じが・・・。
悪いところばかり挙げたが、背景はしっかり考証、再現してあるので、第一次大戦当時の雰囲気を知る、資料的価値はとても高く、映画ではなく、リヒトホーフェンに興味がある方は見て損はないでしょう。
しかし、自分としては良く似た映画で、ジョン・ギラーミン監督の 『ブルーマックス』(1966) の方をお勧めします。こちらも舞台は第一次大戦、主人公は平民から撃墜王になり、リヒトホーフェン同様国家によって英雄に祭り上げられ・・・という内容。人間ドラマもなかなかだし、本物の飛行機を使った空中戦描写、大迫力の地上戦エキストラ、と見ごたえあります。