信用金庫の力――人をつなぐ、地域を守る (岩波ブックレット)
原発事故からわずか20日で、堂々と「脱原発宣言」をされた方の書かれた本だけある!というのが、第一印象です。こんなに薄くて安い本なのに、内容の濃さに驚きました。貨幣経済の歴史まで、私のようなチョー門外漢にも分かりやすく解きながら、お金の力と弊害、人がそれぞれの能力を発揮していきいきと働き、組織としてもまとまったいい仕事をするために欠かせないこととは、など、今、このボロボロの国で生きざるを得ない私たちが、一番考えなくてはいけないことに、きちんと触れてくれています。モノづくりで競争することをやめたアメリカが、経済のグローバリゼーションを進めて、例えば日本をATMのようにして、国民が稼いだ金を吸い上げる戦略に切り替えた、など、こう言われたら私にも分かるわ、という説明の仕方。
それに、引用される様々な本や例が幅広いことにもびっくりでした。何しろ、児童書の『モモ』まで出てくるのですから。
特に、最後の第5章、経済の専門家による「原発に頼らない社会に向けて」は、説得力があります。目を覆うばかりの永田町のセンセイ方には、課題図書にしたい!
城南信用金庫の「脱原発」宣言 (わが子からはじまる クレヨンハウス・ブックレット)
今日本でこの作者ほどお金について考えている人はいないのではないか。
本著メインである原発についてはもちろん、大変わかりやすく、いかに危険なもので、なくても問題のないものであるかわかったが、
それだけではなく、お金にまつわる近年の日本の歴史や世界情勢もサラリと簡単に学ぶことができた。
語り口調も穏やかで優しく、また名作文学から映画、TV、著名人までよく聞く身近な名が散りばめているため、
こうした論文本を読んだことのない私もとっつきやすかった。
今後も考えることを放棄せず、未来のためにできることからしていきたい。