DocumentaLy(初回限定盤A)CD+DVD+豪華ブックレット
前作kikUUikiで見せた世界観はあまりにディープすぎて、僕は作品として整理できなかった。一部絶賛する者がいるなか、大衆が入り込めない敷居の高ささえ感じさせた。それはつまり、一郎が目指す「メジャーとアンダーグラウンドの同居する音楽」を否定することにもなりかねなかった。
そんな結果を見て、一郎は改めてリスナーの生きる意識と向きあい、音楽の生きる記録=DocumentaLyを作り上げた。
テクノミュージックの類には古くから現実逃避の要素が少なからずある。電子音は非日常的快楽を生む。しかし、彼らの音楽はダンスミュージックでありながら、きっちり現実にリンクしてくる。その理由の1つは一郎の人間観察能力に長けた歌詞である。今作で、一郎の歌詞はさらにリアルな感触を求め、僕らの心を掴んで離さない物となった。キラキラとした音に乗る彼の生の言葉と、わずかに残るロックな感触により、サカナクションの音楽は機械的かつ非現実的なものには成り得ないのである。一郎は理解しているのだ。電子音が快楽を生むと同時に、それが孤独を作り出してしまうことを。
本作の言葉と音をしっかり受け取った人間は現実を自己完結で終わらせずに、自らの生きるドキュメンタリーを作り上げることが出来る。
2011年、僕らはネットに逃げ場を探してはいけない。現実にリンクするダンスミュージックの行き先はリアルに生きる人間と現実である。仮想世界に踊らされるのではなく、僕らは現実というステージで踊り続けなければならない。それ故に「見えない世界(=現実)に色をつける声は僕だ」と彼は断言するし、「この世界は僕のもの」と強く叫ぶ。
本作はシングル3枚を含み、非常に親しみやすい。中でもわずか4分でポップソングとして機能するバッハ〜が彼らの知名度をさらに上げたと思われる。サカナクション入門にしても、問題ない作品である。収録曲について、多くを語るのは避ける。特筆するなら、リードトラックであるエンドレスが名曲すぎること。音楽を説明する上でこれは禁句かもしれないが「聴けばわかる」と断言する。リリース形態は3種類あるが、DVDが付属する初回版Aをオススメする。DVDに収められた制作風景とその苦悩を見ることで、さらにアルバムを理解することができるからである。
この世には評価されるべき音楽が数多存在する。ただ、アングラすぎて影に隠れる物がその大半を占める。大衆に評価されるためには大衆性が不可欠だ。しかし、100万枚売れて、メジャリティを得すぎたシングルが記録に残っても記憶に残らない時代だ。そんな状況下で一郎は次のように歌い上げてくれた。
-「愛の歌 歌ってもいいかなって思い始めてる」
その覚悟がもし、本物であるなら…次回作でさらなる革命が起こるだろうと僕は推測する。メジャーで音楽をビジネスとして成立させる意味、アングラを日のあたる場所に持ち出す重要性を理解した彼がそんな意志で作り出す音楽は退屈なヒットチャートにドロップキックできる。
そんな期待さえしてもおかしくない名盤である。必聴。
SAKANAQUARIUM 2011 DocumentaLy -LIVE at MAKUHARI MESSE-(DVD通常盤)
本当に最高です。サカナクション最高です。生でライブ見たいし、演出、歌、メンバーすべてが最高です。これははまります。
SAKANARCHIVE 2007-2011 ~サカナクション ミュージックビデオ集~ [DVD]
PVに定評があるサカナクション初のPV集!
PV集ということで、収録曲は自ずとキャッチャーな楽曲ばかりになっています。
リマスタリング処理が施されたハイレベルな音質に、個性豊かな美しい映像。
PVが有名な「アルクアラウンド」も、TY画面で見るとこんなに違うんだと思いました。
本作で初公開の「ドキュメント」のPVがここでは不評ですが、個人的には内容が深くて女優さんの演技も秀逸でとても楽しめました。
曲順もリリース順なので、サカナの歴史をなぞりながら楽しむことができます。
初めてサカナに触れる人が、サカナクションを知る上で欠かせない+最も分かりやすい作品ではないでしょうか?
特典映像も面白く、文句なしの☆5です!
バンド・スコア サカナクション/SAKANA ENSEMBLE 2010-2011 (BAND SCORE)
15曲全部に、インタビュー形式でアドバイスや奏法解説があります!
一郎くんだけじゃなく、メンバー全員分載ってます。
スコアが必要ないと思ってる人でもこの部分を読むだけで大満足の内容。
今までより理解が深まって更に大好きになりました。
もちろんバンドでコピーしたいって人にはバイブルになるんじゃないかな。
巻末付録に「バンドスコアの読譜法」や「アタッチメントの基礎知識」も載っています。