じゃりン子チエ DVD-BOX 1
1. 一般的に人間は「マトモな人」と「中間の人(=普通の人)」と「マトモじゃない人」という具合に分類できる。
両方の極と中間という分類である。
どこの国でも地方でも会社でも学校でも、ある程度の人数が集えば傾向として認めることが可能だ。
しかし、「じゃりン子チエ」の登場人物は違う。
圧倒的に両方の極が多く、中間が少ないのだ。
クッションや(ブレーキでいうところの)アソビがない社会ともいえるが、色彩の濃いカラフルな世界を作り出すことに成功しているともいえる。
そしてこのことは下町を舞台にフランクな人々が織りなす物語において良い効果を発揮している。
2. 当時(80年代初頭)のアニメーション製作の質が高かったことを実感。
端的にいえば「仕事が細かい」のである。
特にチエとよしえが公園であうシーンと同じ話で堅気屋の大将がお好み焼きを食べるシーン(お好み焼きのタネを鉄板に落とすシーン)。
国内で熟練かつプロ意識の高い職人の仕事であることを強く感じる。
今時の作品ならばCGやSEで代替するだろう。
それ自体は悪いことではないが、その便利さに頼りすぎるあまり手作りの暖かみのような要素が失われているような気がしてならない。
一事が万事というが、このシーンが象徴するように作品全体のクオリティが高い。
作画だけではなく、脚本のレベルも高く、なるほど人気作品として長年ファンに愛されていることが理解できる。
3. 結論。当作品のファンならずとも、全てのアニメファンにおすすめしたい。よって、星は5つ。満点星!!
じゃりン子チエ 劇場版 [DVD]
何も知らずに高畑作品というだけで劇場に見に行き、冒頭のハチャメチャなエピソードのオチがついてからチエがつぶやく「…ウチ、不安」の一言から鮮やかに切り替わるメインタイトルと、続いてスター・デストロイヤーばりに浪速の空を飛ぶゲタ! 流れる奇妙奇天烈な主題歌(歌うはグッチ裕三、モト冬樹!)と、ここまで来た段階で完全にハマった!
劇場に居座って3回繰り返し見たあげく、書店に飛び込んで原作を買いあさり、主題歌のレコード(CDじゃないよ)まで購入。数年後に発売されたビデオテープは以後の酷使に耐えきれず今やノイズだらけ。
やっと出たDVDは、法外な高値のために暫し購入を逡巡…
というわけで、ようやく念願が叶います。
原作の面白さと、当時最高のアニメ技術が見事に融合したケッサク!
じゃりン子チエ DVD-BOX 2
今日、待ちに待ったDVD「じゃりン子チエ DVD−BOX1」が届きました。
思っていたよりもいいBOXです。
まず、BOXの外箱の絵がいかにも大阪らしくこてこてです。
ケースは私の好きなトールケースで、当然ながら1枚ごとに絵は変っており、ディスクはもちろんピクチャーディスクでした。もうこれだけで感涙ものです。
薄いながらも24ページの解説書も付いていました。
早速、1話と2話を小学校2年生の息子といっしょに
見ました。さすがに25年も前の作品だけあって、画質はあまりよくありませんでした。
しかしながら、やっぱり面白い!
初めて見る息子も躊躇無くストーリーの世界に溶け込んでいったようです。
息子と見る「チエちゃん」、不思議な感じです。
親子2代で見るとは夢にも思いませんでした。
「ガメラ」も含めて、いくつかのDVD−BOXを持っていますが、このBOXは最高です。
まさに、我が家の家宝であり、最強のBOXであります。
もちろん、この「BOX2」も買うしかありませんね。
はるき悦巳短編全集 力道山がやって来た (ビッグコミックススペシャル)
自分は中学生の頃「じゃりン子チエ」を読んで以来、
「日の出食堂の青春」も「ガチャバイ」も「どらン猫小鉄」シリーズも全て読むほどはるき作品のファンになってしまいました。
高校生の頃じゃりン子チエのファンサイトでこの本に収録されている単行本未収録作品の存在を知り、「単行本化されないかな」と思ってから9年、
これらの単行本未収録作品+幻の初期作品集「舌町物語」からの短編3編+はるきさんが漫画描き始めた頃の未発表作品を収録した単行本が発売されると知り感激でした。
個人的に「伝説」と未発表作品の「翔と影絵」「待つ戦士たち」は「じゃりン子チエ」等のコメディ作品とは違いはるきさんの作品のもう一つの世界観が見られたような気がします(「どらン猫小鉄」も似たような感じですが)。
個人的に90年代に発表された短編作品が面白かったです。
出てくる人がみな温かい「オッペラ甚太」
腹違いの兄弟が再会するという普通なら暗くなりがちな題材だが、実際に読んでみるとさわやかさを感じる「西の幸福」。
売れない漫画家の青年と一癖も二癖もある元気な4人の老人が出てくる「夏の虫」(個人的にはこの作品集で一番好きな作品)
エッセイ漫画風の「すがすがしい1日」、
乱暴なのにどこか憎めないテツみたいな男が出てくる「エンゼル」
などが個人的にお気に入りです。
あと80年の作品ですが「力道山がやって来た」はラストで少し涙しそうになりました。
それと主人公の咲が安っさんというオヤジに言っていた
「格好で人嫌うような人間はカスやて先生ゆうとったど」と言うセリフは名言だと思います。
あと、はるきさんの作品の絵はアナログな感じはしますが決して古い感じはしないです。多分、十年後に読んでも古くは感じないと思います。
すばらしい作品集ですが星を4つにしたのは装丁が不満(普通の青年誌のコミックス(ワイド版ではない方)に無理やり沢山ページをつけた感じ。何回も繰り返し読んでいたらページが中で割れそうです。)だからです。もう少し値段を上げても良かったから愛蔵版の様なしっかりとした装丁にして欲しかったです。そこだけ残念です。