自然体‾自分のサッカーを貫けば、道は開ける (小学館101新書 22)
中田英寿や中村俊輔など中心選手が見たトルシエやジーコなどの代表チーム評はある程度予想できる内容ですが、遠藤のようなセカンドベスト(失礼!)の選手のチーム評ってどんなかな?と興味をそそられ購入してみました。
タイトル的に俊輔本を意識しており、なんとなくビジネスマンにも目配せしたパッケージングはいやらしい感じがしますが、帯の「パスは、俺の命」とのフレーズは遠藤の飄々としたパブリックイメージとは異なりハッとさせられる。
非常に読みやすく、内容はあまりありませんが(失礼!)、遠藤のチーム批評というかサッカー論は非常に客観的で適切。特に、ジーコジャパン評やCWCマンU戦評などは、妙な思い入れや、偏りがなく、「ああ、そうなんだろうな」と自然に思わされるような説得力。さらっと書き(語り)流しているが、スポーツライターのようないやらしさもなく、俊輔のような自己演出もなく、なかなか得がたい。彼は引退後は良い解説者になるだろうと思わせるものがある。
過去の移籍についても、非常に簡潔に説明しており、俊輔の「自分の弱さを克服するために、あえてイタリアの降格争いのチームに移籍した」というような「嘘つけ!」と突っ込み必至の眉唾もなく、非常にあっさりと読ませる。ボランチとして、非常に実利的でクレバーな面が語り口にも染み付いているという感じ。本人のタッチ数の少ないパス回しのように、気持ちよく、さっくり読めた本でした。