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草原の風 上巻
新聞に連載中、毎日少しずつ読んでいたものをあらためて一気読み。
この手の小説は、逸話、資料等を数多く集め物語を構築していくもの。
この作者が書き上げたお話は私好みといいましょうか。
予言といって良い様な占いが先ず有って、ある種のファンタジーにも思えてくる話の進み方です。
新聞連載時に使われていた挿絵の版画を少しでも良いから配して欲しかったです。
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呉越春秋 湖底の城 第三巻
伍子胥の父兄の刑死から、伍子胥が呉に流れ受け入れられるまでが描かれてます。
他の作家の本であらすじもだいたい把握しているつもりだったが、
登場人物も多彩で、まったく新しい物語として読める内容でした。
苦難の時期を多くの有能な人に支えてもらい、時宜を得て飛躍するという、ある意味
著者の王道パターンなのですが、それだけにつぼを心得ている印象を受けました。
次の巻が楽しみです。
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異色中国短篇傑作大全 (講談社文庫)
11編中、春秋2、戦国1、秦1、楚漢1、前漢1と、「史記」の世界が圧倒的に強いっすな、テーマとして取り上げられた時期は。残り5編の内2つ(『九原の涙』、『蛙吹泉』)は時代背景を借りた創作小説。自由に物語を作るには、民衆の力が大きくなった宋代と、混沌とした雰囲気を醸し出す近代中国というのは使いやすいのかもしれない。
短編として扱うのなら、春秋戦国や五胡十六国、五代十国のような小覇王乱立の時代がおもしろいと思うです、それ以上になるとスケールがでかく成り過ぎちゃって短編にまとめられないから。