伝統の一戦 阪神VS巨人70年史 [DVD]
本作は阪神・巨人戦の歴史の中から名場面を選りすぐり、阪神サイドから光をあてた阪神版。私は巨人ファンだが関西で生まれ育ち、毎日阪神の記事が一面のスポーツ紙を家でとっていた。したがって、阪神の選手たちにも思い入れがある。私がプロ野球に一番熱中していたのは巨人のV9中期から長嶋巨人初期にかけて毎年のように巨人・阪神が優勝を争っていた時期である。残念ながら、戦前から江川・小林の因縁の対決の頃までは、ナレーターこそ違うけど(本作では月亭八方)巨人版と同じ映像が使われている。王の素振りの場面まで本作に入れる必要があったのだろうか。この時期で巨人版にあって阪神版にないのは王の1試合4打席連続ホームランの試合ぐらいである。私が一番思い入れのある村山・江夏・田淵の映像が阪神版にしては少ないのが物足りない。
阪神版が独自色を出すのは85年から。そのシーズンのTG第1戦、伝説のバック・スクリーン3連発の第2戦など、あの年の阪神打線の凄さを見せつける試合が次々に紹介され、最後は55号を打たれないように巨人投手陣がバースを敬遠する、巨人ファンには恥かしい場面で締めくくられる。その後、阪神は長い暗黒時代を迎えるが、92年の亀山の活躍、新庄や井川の台頭、代打八木の活躍等で巨人にサヨナラ勝ちした試合が多く収録されているので、阪神ファンは満足できるだろう。巨人版ではこの頃はホームランで勝つ試合が、阪神版ではヒットを積み重ねて勝つ試合が多く紹介されている。野村監督の時代には開花しなかったそのこつこつ野球が、星野・岡田両監督の下での優勝に結びついていく軌跡がよくわかる。
本作に登場するには、魅力ある日本プロ野球の歴史を作った阪神・巨人の名選手たちばかりである。熱い対決の伝統が今後も引き継がれることを願ってやまない。
ノムラの考え 完全版 [DVD]
峰山高校→テスト生→三冠王→ヤクルト・阪神・楽天での名監督の奇跡をじっくりと浸ることができる対談作品である。
野球界だけではなく「これからの日本はどうなるのか不安だ」と語る野村氏。今の震災の国難を秘かに暗示されているようで怖い程の予言力がある人間だと思う。
楽天を2位に成長させながらもクビになった真相が初めて分かった。2位になったため野村→星野とは出来ずに、カマセ犬の害人監督ブラウンを1年だけ間に挟んで最下位にした楽天三木谷社長のせこさが大変良く理解できた。こういう真相を知ってしまうと今の星野楽天を素直に応援できなくなってしまいそうだ。
野村は与えられた人材で古田・稲葉・赤星・山崎・島を再生・育成した手腕は大きく評価できる。
一方星野は五〇〇〇〇〇〇〇〇円で松井稼と岩村と川上憲の入団招聘を楽天監督就任の条件とした。
日本を代表する2人の監督をどう評価するか意見が分かれるところであろう。
そなえ ~35歳までに学んでおくべきこと~
何年、何十年先を見越して、ひたすら準備をすること。例えすぐに成果が出なくても、バカにされても。
そんな教えが、野村克也という野球人生をなぞって解説されています。タイトルに「35歳までに学んでおくと」とありますが、人生哲学のような内容なので、年齢はそこまで関係ないのでは、と感じてしまいます。また、本企画を野村監督に執筆依頼した出版社・編集担当者には、畏怖すら覚えます。
オレとO・N
既に多くの著作がある野村克也元監督がON(王・長嶋)について語った本。ONと対比しながら自身のことも書いている。同じ年齢層の元選手たちの中には既に鬼籍に入っている人達も出てきており、同じ世代のプレイヤー及び監督経験者としての視点からONの偉大さを本に残すべきだと考えたという。
長嶋茂雄はテスト入団の著者とは正反対のエリートコースを歩んできたスター選手として強く意識しており、元々南海に入団することになっていてNN砲が誕生していたかもしれないのに金銭面のちょっとしたもつれ話から巨人に決まった裏話や、スイングの早さ、抜群の集中力、大学時代に猛練習で鍛え上げられたことなどを紹介している。一方、本塁打記録を争う相手として王貞治には強いライバル意識を持っていたという。実際、日本のプロ野球史上で600本塁打以上は王と野村の2人しかいない。年間最多本塁打記録を抜かれたときの心情や、荒川コーチ指導による真剣を使った練習を実際に見学させてもらって驚いたときのことにも触れている。
交流戦の無い時代だからレギュラーシーズンでの対戦はないが、オープン戦、オールスター、日本シリーズでは何度も戦っている。日頃セ・リーグのバッテリーの王選手への配給に疑問を感じていたこともあり、オールスターでは野村はキャッチャーとして工夫をこらして27打数1安打に抑えたという。また、日本シリーズの巨人vs南海については1章を割いて詳細に振り返っており、当事者ならではの見方が散りばめてあって興味深い。セ・リーグ審判団の判定に対して不満を述べているところもある。私生活では、ONと共にヨーロッパへ旅行したことがあって、長嶋だけでなく王もせっかちなのに驚いたというエピソードを紹介している。
監督同士としても著者は両者と何度も合いまみえており、ONの監督としての実績と足跡をたどりながら、成績だけでなく人材育成や人望といった点も交えて独自の評価を行っている。マスコミを通じてさんざんいろいろなコメントを流したので、長嶋茂雄との関係は今もぎくしゃくしたままだという。さらには、ONに匹敵するようなスター選手について、中西、大下、落合、清原といった過去の選手から、松井、イチロー、ダルビッシュ、阿部、田中将大、中村剛といった現在の選手達にいたるまで、自身の見解を述べている。
ONの全盛期は高度経済成長の時代と重なる。今や地上波でのプロ野球中継は激減し、メジャーリーグへ行く選手が増え、人気スポーツとしてサッカーが台頭している。人気と実力の両方で今後ONと同レベルのコンビが登場することは、「時代性」も考慮すると無いといえるだろうということだ。
野村監督語録集~名将かく戦い かく語りき~ [DVD]
楽天の名将野村監督のボヤキを集めたDVDです。
本当に面白い企画ですね!
試合後のボヤキも最高ですが、その前に収録されている
スペシャル・インタビューがとても良かったです!
野村監督の野球哲学を垣間見ることができます!
ぜひ一度ご覧あれ!