蔭桔梗 (新潮文庫)
第103回直木賞受賞作品の表題作『蔭桔梗』の他、10編の作品を収録した短編集。
一本筋の通った職人の世界、そこから教えられる人生の難しさやおもしろさ、さらには大人の恋愛等、様々なことが職人の世界を舞台にして綴られている。
登場する職人達は主に呉服に家紋を描き入れる職人・紋章上絵師である。
著者の泡坂妻夫氏自身が紋章上絵師であるため、職人の世界の描写は物凄くリアルで、職人達の熱気が伝わってきた。
今現在、日本の衣食住はほとんど欧米化されています。それは一概に正しいとも間違っているとも言えません。ただ、そんな今だからこそ“失われゆく江戸情緒”を思い出すために、本書を読んでみるのもおもしろいと思います。
因みに、著者の泡坂妻夫氏は表題作『蔭桔梗』での直木賞受賞に際する記者会見で、なんとマジックを披露しました。そう、彼はマジシャンでもあったのです。こんな形の素敵な直木賞受賞に際する記者会見は最初で最後になるかもしれません。
ソレデハ…
直木三十五伝 (文春文庫)
毎年年2回 文藝春秋恒例の 芥川・直木両文学賞が発表される。芥川といえば 芥川竜之介だが、直木というと 分からない人が多いようだ。
私も 直木三十五氏をたたえて 菊地寛が直木賞を創設したことは知っていたが、この人物が 直木三十一⇒三十二など 年齢に応じ名前を変えていたことを本書で始めて知った。
また著者 植村 鞆音氏 は テレビ東京元社長であり 直木氏の甥にあたるそうです。
今まで書かれなかった、直木氏の伝記として優れたものになるのではないでしょうか。
直木三十五伝
毎年年2回 文藝春秋恒例の 芥川・直木両文学賞が発表される。芥川といえば 芥川竜之介だが、直木というと 分からない人が多いようだ。
私も 直木三十五氏をたたえて 菊地寛が直木賞を創設したことは知っていたが、この人物が 直木三十一⇒三十二など 年齢に応じ名前を変えていたことを本書で始めて知った。
また著者 植村 鞆音氏 は テレビ東京元社長であり 直木氏の甥にあたるそうです。
今まで書かれなかった、直木氏の伝記として優れたものになるのではないでしょうか。
高円寺純情商店街 (新潮文庫)
3部作だが、すべて気に入って何度も読んでいる。
60年代の商店街の様子が新鮮かつ懐かしく、それに触れたくてついつい手にとってしまう。
なにより主人公の少年にとても好感が持てる。
素直で子どもらしい部分も持ちながら、一人っ子として大人達に囲まれ、商売人の家に育った環境からか、世事に長けた判断もする点がリアル。
おそらく女性読者はこの少年にかなりの確率で非常に好感をもつと思う。
剣聖―乱世に生きた五人の兵法者 (新潮文庫)
上泉伊勢守等5編が納められている。それぞれ生涯を描いた作品ではないので人物評が不明なところはやむを得ぬがそれぞれの兵法への取り組みが良くわかる。特に上泉伊勢守は大変おもしろい。また佐々木小次郎が宮本武蔵との対決時69歳であっとは初めてしりました。歴史小説161作品目の感想。2008/10/12