この世界を誰にも語らせないように
「もう何も怖くない、怖くはない」そしてアルバムタイトルとして冠し、
堂々冒頭を飾る「TW」さらには「逆光」「不完全燃焼」と来た段階で
再び一区切りの付いた石川智晶World...もう何も言うことはない、
と、余裕で思わせる、この堂々とした浮世離れ感がもの凄い。
「TW」からの有無を言わせぬ畳み掛けから始まり、そして続く
新曲の「The Giving Tree」にて、またしても激しく瞠目させられる。
明らかに昨年3月を越え紡がれた内容のようにも思えるが、まさに
今という瞬間、時代の息吹をしての感慨が端々から毀れ出る...
切なくなるほどの、この何ともいえぬ寂寥感。そして生きることの
真の意味を問う身体を張った力強いパフォーマンスに決して賢者では
ないけれど、彼女は穢れ荒らぶれど一糸纏わぬ聖者なのだと実感する。
真っ直ぐ過ぎるも、すべてを語らない歌詞。そしてそれらを上回り席巻する、
高く低くよく通り自在に耳に踊る智晶ヴォイス。強く柔らかく常に心に寄り添う。
「不完全燃焼」「逆光」の二曲だけでも確固とした荒れ狂う世界観を垣間見せるのに、
のみならず「夏の庭」「それは紛れもなく〜選ばれし者のソリチュード」といった
名曲を平然と生み出してみせる。前者はOPを担当した『神様ドォルズ』挿入歌として
涙を誘う場面を彷彿とさせ、ほろほろと泣かせる。そして後者はアルバム最大の見せ場を
ラスト前に用意し、一種の覚悟を魅せる哀しくも美しい姿に孤高の存在を抽出させ、まるで
聖なる言葉のようにも思える歌声で、その崖の上の選択を賛美する――覚悟、そう覚悟という
ものを人知れず心に問いかける清々しさに空恐ろしいほどのものさえ感じる。さすが、石川智晶。
その間髪入れずの緊張感のさなか、まるで思い出したように挿入される「アンインストール
〜僕が最後のパイロットMIX」の突然思いついたようなフットワークの軽さも興味(おもしろ
)い。
言わずと知れた彼女の孤高さを世に知らしめた神曲。その鮮烈な記憶を逆手に取って、
翻弄するかのように今ある彼女の場所をフラッシュの如く再構築し、再び魂に知らしめる。
一度完成されたからこそできる荒業。理解できないからこそ...
「スイッチが入ったら」の余裕の姿勢で馴染んだメロディの軽やかさも愛しい。
「My Book」「シャーベットスノウ」などの新バラードも優しく、特に前者の淡々とした
風情に、もう一つの彼女の真骨頂を見る思い。人に見えないものを見る、その切なさ。
後者は賛美歌的な雰囲気が美しく、どこか時代がかった壮絶さを繰り広げる楽曲の中で
ふと「アンインストール」以前、See-Saw時代の'90年代的ナチュラルさを思い出す。
繰り返すどこかの日常を切り取った「インソムニア」のような一見突き放して
見ているようで、包み込むさりげない優しさもよいが、それもつかのまの休息。
――堰を切ったようにあふれ出る、語り部の魂は停まらない。
この世界を誰にも語らせないように――怒涛のアルバム全体を俯瞰するように、
図書館の高みで一冊の本に目を落とす。その穏やかな眼差しはまるで女神のようで、
その裡に実はほとばしる野生と熱を隠し持っている...彼女の醍醐味である、その真実を
ここぞとばかりに味わい尽くせる一綴りの物語のような趣に深い感慨を覚える。その
しなやかな強さと哀しげな優しさに、どうしようもなく惹き付けられ、時を忘れる。
まるで「この一瞬だけ」であるかのような潔さ。ああ石川智晶、絶唱の極み。
男性不妊症 (幻冬舎新書)
「子供が出来ないのは、100%女性の側に原因がある」
という常識は、果たして本当なのだろうか?
実は、その常識は明らかなガセである。
もちろん、女性の側に不妊の原因がある場合も考えられるが、実は、不妊の半分は男性の側に原因がある。
そのことを、著者の石川さんは口が腫れるまで訴えているが、現代の日本では、まだまだ「不妊の原因は100%女性の側にある」というガセビアが罷り通っている。そのせいで、男性の不妊症に対する理解が満足に進んでいないと言える。
そこで、この本は男性向けに、不妊症の基礎知識と治療法を伝授しているが、この本で書かれている方法はどれも実践的であるため、今すぐにでも「子供が欲しい!」と思っているカップルにとっては、非常に有り難いと言える。
だから、この本は不妊治療のテキストとして、永く読み継がれて欲しいと思う。それと同時に、「不妊症の原因は100%女性の側にある」というガセビアを完全に一掃するためにも、この本が多くの男性に読まれることを切に願いたいと思う。
じつはよく知らなかった経済のことがスッキリわかる本 ―不況対策から国際情勢まで! おもしろく教える経済塾
速習マクロ経済学でお世話になってる石川先生の本なので、すぐに購入しました。
まだ半分くらいまでしか読んでないんですが、無茶苦茶素晴らしい内容です。
なんでTVや新聞はほんまのことを言わんのかとか、日経は任天堂はたたいてもソニーはたたかんというのがよおく解りました。
他にも官僚の天下りは現在の体制やとしょうがないとか、原発についての問題とか、目から鱗でした。
素晴らしいなあ、石川先生。
いや、ほんま、池上彰なんかTVで観るくらいやったら絶対にこの本読んだ方がいいと思います。
TVでは本音は言えないんですよね。なるほど。