ぼくがHTVです―宇宙船「こうのとり」のお話
子供だけではなく、大人にもお勧めしたい、HTVの開発段階から任務終了までの一生がよくわかる、素晴らしい絵本でした。
描かれた数々のエピソードも現実に起こったことばかりで、宇宙機開発やオペレーションの大変さ、素晴らしさを理解するうえで、とても参考になります。
ちょっとでも宇宙に興味のあるお子さんなら、この本をよむことで、さらに理解や興味が深まるでしょう。
素直でけなげなHTV君の姿に感動して、いい大人なのにいっぱい泣いてしまいました。
ぜひ図書館や学校の図書室にも置いて欲しいと思える、素晴らしい絵本でした。
宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1)
『川に橋掛けたのも、車を走らせたのも、宇宙にロケット飛ばしたのも、政治家や学者様がやったんじゃない。俺たち技術者が成したんだ!』
かなりうろ覚えですが、在る作品で上のような台詞を読んだ事があります。
学者は行って何をどうやってやるのかを考えます。政治家はそれをやるべきややらざるべきかを判断します。技術者は科学者が思いついたものを現実に変えます。宇宙開発分野は最先端技術の塊です。それらを一つ一つ形にしたのは技術者たちです。
本書で取り扱うのは、最近発行される宇宙ものの書籍では経過そのものや研究者目線が主で比較的スポットの当たらない、その技術者=開発メーカーの部分です。
本書では、メーカー技術者が、宇宙ステーション補給機「HTV」、打上ロケット「H-2B」、月探査機「かぐや」の開発・運用において何をしてきたかの特集を軸に、自社が持つ独自技術で開発製造に貢献する中小企業への取材、世界市場に挑戦し続ける三菱電機とNECについて記載されています。
厳しい環境と条件、困難な運用と国際競争の中で、「技術国日本」のメーカー技師たちがどんな挑戦と苦労をし夢を抱いているか、98ページのムックに多くの写真や図版も相まって読みやすくわかりやすく纏まっています。
開発現場の視点をつづった内容は『プロジェクトX』のようなかんじで、新たな発見やさらなる興味を呼び起こしてくれます。
そういった点でもすでに宇宙開発に興味と知識を持ってる方から昨今の『はやぶさ』ブームから新しく宇宙開発に興味をもたれた方まで楽しめる内容になっていると思います。
私としては今まで苦しい戦いを強いられてきた国際商戦の今後の展開についてかなり力を入れて書かれているのに好感を持ちました。うん、日本はまだまだやれる!
巻末には宇宙開発に関わる企業の一覧が、主契約者として開発に携わる大企業からネジの1本を作る町工場まで258社すべて網羅されています。
1機のロケットや宇宙機を作るのにこれだけの人の手を経る事に驚きと感動を覚えるとともに、本書編集に携わった人の日本の技術者への想いを垣間見たような気がします。
イカロス君の大航海
36ページ、厚さ4mmと薄い本ですが、小さいお子さんからお年寄りまで幅広い年齢層に対応した内容の本です。
まず大半を占める絵本部分は小学校入学までのお子さん向け。イカロス君のこれまでの旅路が語られています。大きな字で読みやすく、わずかな漢字にもふりがなが振ってあり、親御さんが読み聞かせても良いですし、お子さんご自身で読むことも出来ます。可愛い絵柄が目を惹くことでしょう。
つづく子供たちと博士とのQ&A部分は小学生向け。絵本部分よりいくぶん踏み込んで解説されています。これでさらに疑問を持った今どきの好奇心あるお子さんなら自分からネットなどで調べて理解を深めていくことでしょう。
最後の数ページは中学生以上の大人向け。実写の画像を交えた簡潔ながら詳細な解説が載っています。より詳しく調べるための足掛かりにしても良いですし、お子さんの疑問に答える虎の巻にも良いと思います。
この本で特筆すべきは手頃な価格もさることながら、制作にあたりIKAROSのプロジェクトメンバーがおおいに関わった点です。基本的に正確な情報ですし、一番詳しい方によりかみ砕かれた解説が読めるのはとても価値あることだと思います。
強いて難点を挙げるとすれば、子供向けの丈夫な絵本とちがい簡易的な装丁のため、乱暴に扱うと折れたり破れたりしやすいことです。これは、より多くの方々に手にとってもらうため価格を下げたが故の弊害でしょう。もしお子さんがこの本を気に入り、その扱いが心配でしたら、予備にもう一冊買って置いてあげてください。そうしても懐に優しいお値段だと思います。
うちゅう (キッズのためのしかけ図鑑絵本 KIDSはかせ)
とにかくたくさん「しかけ」があり、このしかけを探すだけでも楽しい本。大人も楽しめます。こんな本を自分でも作ろうと思ったら、1500円では作れません。北斗七星を大熊座と書いてあったりと、少し「ん?」と思うところもありますが、しかけの工夫で、宇宙がわかりやすく学べます。
小惑星探査機はやぶさ スノードーム (イトカワ)
珍しいスノードームのはやぶさと小惑星イトカワ。写真ではわからないのですが、中に入っているラメの色合いが大変すばらしい。たっぷりのラメが蒼、紺碧、金色、ピンクときらめき、振らなくてもドーム全体が青く輝いています。さながら全天球映像の星空のようです!部屋の明るさによって異なる雰囲気が出て、日光の下では地球付近、ライトの下ではイトカワ付近…なんて想像してしまいます。はやぶさとイトカワ自体の作りは甘く、手作り感のような風合いがあります。細かいディテールよりも雰囲気を味わう作品ですねww
ちなみに後ろにはペンを立てる穴が2つ空いています。私は紙で作ったロケットや、JAXAの先生にサインしてもらった時のサインペンを立てたりしています。手のひらサイズで場所も取りません。プラスチックなのでそれほど重くなく、割れる心配も少ないかと思います。