知恵の七柱 (1) (東洋文庫 (152))
映画「アラビアのロレンス」で世界的に有名になった、T.E.ロレンス中佐の自叙伝。第一次大戦下、当時トルコ帝国の占領下にあったアラビア半島で発生した反乱に、英国の連絡将校兼アラブ軍の軍事顧問として参加した2年間を描く。
巨魔的な魅力を持つアラビア砂漠で繰り広げられる冒険、砂漠の民ベドウィンの特異な生き様、現代に通じるゲリラ戦戦法、国家間の泥沼の駆け引きに振り回される個人の苦しみなど、この自叙伝のみどころは多い。だが、最大の魅力は何といっても、主人公ロレンスの特異な性格だろう。
学者の頭脳と頑強な肉体を兼ね備え、内向的かつ活動的、ユーモアと機知に富み、奇想天外で、親しみやすいのにいつも謎めいている…。そんなロレンスの、カリスマティックな魅力を堪能して欲しい!。
この本は人生の厳しい時期に、私の心の支えになってくれた作品だ。
プラス思考、異文化交流の考え方、文学作品の読み方…ロレンスに教わったものは非常に多い。
中でも特に影響されたのは、これだけの試練を経験したロレンスが、この作品の後も自分の人生を捨てることなく生き抜いた、ということだ。
どんな状況に置かれても、自分の人生を自分らしく生き抜いていくたくましさ…そして夢やぶれても、重たい現実に耐え抜く強さ。
彼の人生は風変わりなので、そのまま見習うことはなかなか難しいが、彼のように強く、自分らしく人生を生き抜いていきたいと、心から願った。
アラビアのロレンス (1963年) (岩波新書)
トマスエドワードロレンス(Thomas Edward Lawrence)は
1888年8月16日生まれ。
考古学者
砂漠の叛乱
砂漠の叙事詩
闘争と孤独
この人を見よ
という章立てになっている。
ロバートペインの「アラビアのロレンス」を訳出中とのことだけあって、参考文献が充実している。
日本フィル・プレイズ・シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー Part1~アラビアのロレンス(愛と冒険篇)~
1980年代以降、映像音楽の録音といえば、ジョン・ウィリアムズの指揮するボストン・ポップス・オーケストラとエリック・カンゼルの指揮するシンシナティ・ポップス・オーケストラによるものが、質的に突出したものとして存在してきた。
しかし、前者に関しては、オリジナル・サウンドトラックの演奏と比較すると、しばしば、演奏に生気を欠くことが多く、また、後者に関しては、近年になり、編曲に劣悪なものが増え、指揮者も精彩を欠くようになり、徐々にこのジャンル自体が魅力を失うようになった。
しかし、今世紀にはいり、日本フィルハーモニー交響楽団によってたてつづけに録音された6枚のCDは、上記の両横綱の録音と比較しても遜色のない、高水準の内容を誇るものである。
沼尻 竜典と竹本 泰蔵という有能な指揮者の的確な演出のもと、20世紀の古典ともいえるハリウッドの代表的な作曲家の傑作の数々が実に見事に奏でられている。
これらの演奏の特徴は、あえていえば、オリジナルの魅力を過剰な演出をくわえることなくありのままに表現していることにあるといえるだろう。
いずれの作品も、世界中に配給される映像作品の付随音楽として作曲されているために、もともと高度の娯楽性と表現性をそなえた作品である。
ここに収録された演奏は、それらの作品が堅実な職人性のうえに自然体に演奏されるだけで、視聴者に無上の歓びをあたえてくれることを明確に示していると思う。
いずれにしても、20世紀後半、正当な評価をあたえられることなく、ハリウッドの片隅において高水準の管弦楽曲を創造しつづけた数々の現代作曲家の労作をこうしてまとめて鑑賞してみると、あらためてそれらが実に良質な作品であることに驚嘆させられる。
そこには、紛れもなく、最高の職人性と大衆性が見事な結合を果たしているのである。
日本フィルハーモニー交響楽団による6枚のCDには、そうした身近なところに存在していた現代芸術のひとつの奇跡が封じ込められている。
ベスト・オブ・スクリーン・テーマ
往時のサウンドトラックに絶対的な価値観をお持ちの方にはお勧めできませんが(かなりアレンジを変えてある曲もあります)、例えば車中で聞くといった用途では充分にイメージを楽しめる内容です。もちろん演者も一流ですので「映画」に対する思い入れがそれほどない方には充分すぎるほどの「一流の演者による名曲」を楽しめると個人的に思います。