眠れる惑星 4 (サンデーGXコミックス)
この終着点は、最初から見据えられていたのだろう。全ての人が眠った世界でただひとり目覚めている男と、その男と契ることによって目覚めさせられた女達のお噺は、美しい予定調和のような集結を迎える。ブラウン、ディック、マシスン、キング、いろんな人の奇妙な味の小説群を彷彿とさせる。ストーリーに瑕疵がないわけではないし、性格的な人物像が書き分けられているのに絵としての女性の描き分けが不十分なので、時々面食らったりするけれど、あまり気にならない。筋書きが筋書きなので(勿論詳細はここには書かない)後日譚やサイドストーリーなどいくらでも描けるのだろうが、これはここで終わるのがいい。カーテンコール、そして、拍手を。
眠れる惑星 1 (サンデーGXコミックス)
陽気婢さん描くところのマンガは、一種異次元的な絵柄と静かな奇想のプロットで、独特の味を作り出している。この最新作はその面目躍如たるところで、自分以外が全て眠ってしまった世界という、フレドリック・ブラウンばりの設定のなか、僅か数名の登場人物が生きている。前作「内向エロス」でもそうだったが、この著者は話作りが極めて上手で、短編のまとめ方や連作の繋げ方は絶妙なものがある。今回は長編であるが、この第一巻の緊張感がどのように展開するのか楽しみなところだ。ところでこの書物は(出版社のせいか?)アダルト扱いになっていないが、この作者の作品はこれまで多くがアダルト扱いになっている。しかし実際読んでみるとわかるが、所謂エロシーンを描くためだけに描かれたようなマンガは、おそらく一作もない。