サンプル・キティ (1) (ソノラマコミック文庫)
夫と小さな娘と主婦(主人公)の三人暮らしの平凡な生活が、隣に双子の兄弟が越して来たときから、非日常に入り込んでいく。謎の解明と共に物語はかなり深刻になっていくのだが、主人公はどこまでも平凡であり続けようと葛藤する。登場人物の内面が、明智さんならではの人をくった人間観察眼で描かれていて、ありきたりのものとは違ういい味が出ている。物語の中で、日常の現実と非日常のSFとのギャップをうまく描いて、奇妙な面白さをかもし出している。通好みの作品と言えるかもしれない。一読の価値あり。
死神の惑星(ほし) (3) (ソノラマコミック文庫)
前シリーズ(サンプルキティ)でもそうでしたが、この作家の作品は、子どもの近くにいる人間に、福音を与えてくれます。
子どもを見つめるときの登場人物のやさしさは、その環境の壮絶さともあいまって、読む者に痛いほどの共感が伝わってくるのです。
読後は近くにいる子供たちへの想いが深くなること間違いなし。
クオリティの高かった前2巻に比べると終わりの巻としてはちょっと尻つぼみ?な気がしましたが、3巻続けて読めばやっぱり秀作(星5つ)!
明智抄ってすごいと思わせてくれます。
明朗健全始末人 (ソノラマコミック文庫―始末人シリーズ)
「始末人」と表題作にありますが、単純な「勧善懲悪」モノではありません。最近はやりのうすっぺらい感動物語とも違います。始末される人、依頼する人、みんな自己中心的で1度読むだけでは感情移入できないかもしれませんが、何度か読むうちにストーリーの隠された意味に気がつきます。そして、自己中心で勝手なキャラたちが自分にシンクロして心の奥深いところをチクっと刺してきます。この著者の作品は読む年齢によっても感じ方が変わる作品です。
鳥類悲願始末人 (ソノラマコミック文庫―始末人シリーズ)
絶版状態だった始末人シリーズが文庫化しました。その第2巻です。
「鳥類悲願始末人」「新装転職始末人」「心美体健始末人」「風雅風韻始末人」「明智くんのおともだち」「お烏さま」が収録されています。
「お鳥さま」は単行本初収録作品)で、ものすごくホラー色が強くて、いつものより怖いです。心して読んで下さい。
サンプル・キティ(4) (ソノラマコミック文庫)
最強の超能力者を生み出す―そんな、人を人とも思わぬ実験の
果てに生まれた、神にも等しい力を持ってしまった一人の少女が、
自分を造りだした科学者に決して成就する事の無い恋心を抱く、
残酷な片思いの物語。
後の『砂漠に吹く風』『死神の惑星』に連なる、時の女神フェアリィと
彼女の永遠の想い人エリィ(=シロッコ)の最初のエピソード。
「ヤキソバ」「ミンチ=ハンバーグ」「ひよこの柄のおふとん」等
所帯じみたアイテムに、SF的世界観の構築と、悲劇へと繋がる
キーワードの役目を担わせている作者の妙技を、是非一読して欲しい。